本日も、当社で発掘できた絶版書籍の中から選りすぐりの良著を紹介させていただきます。
今回、紹介させていただく1冊は、1994年(平成6年)発行の若干古い参考書となり、英文法は丸暗記ではないということ、基礎をおさえれば面白くなるという読み応えのある参考書です。。
また、所々で脱線するのが面白い参考書です。
『研究社 大学入試納得できる英文法 吉川勇一著書 1994年4月発行』
こちらの参考書は
数学が苦手な吉川勇一先生が書かれております。数学が苦手というよりは、暗記が苦手そうなので暗記が必要な科目は苦手なんだろうなと思ってしまいました。
どちらかと言うと、机の傍らに置いて必要な時に必要な箇所を調べたいという参考書ではありません。一通り読んで英文法に興味を持っていただく参考書となります。といっても、問題や解答は全て記載がありますので、その辺は安心してください。
著者は、代々木ゼミナールでも教壇に立たれた吉川勇一先生(1931-2015)です。
先に吉川勇一先生のプロフィールを紹介させていただきます。
吉川勇一先生は
東京大学文学部社会学科を中退されております。
名古屋学院大学非常勤講師、日本ジャーナリスト専門学校英語科講師などで講師をされ
予備校講師の頃には、他の講師らとともに反戦、憲法9条擁護の運動をされておりました。
代々木ゼミナール時代には、「英語はダメ、全く苦手」という生徒に「ベーシック英語ゼミ」という熱烈講座を担当し、英語を好きにする講義を続けておられました。また、「高校英語研究」に連載した「納得できる文法・語法講座」は読者アンケートで毎月1位2位と大好評で、本書の元にもなっています。
参考書での著書は、「吉川のベイシック英語 – 5日間集中講義」、「大学入試納得できる英文法」の2冊のみとなり、「市民運動の宿題」などの市民意見広告運動関連も出版されておられます。
今回はそんな貴重な著書の中から『大学入試納得できる英文法』を紹介させて頂きます。
それでは、本書を目次から見ていきたいと思います。
目次を見る限りでは、「これ本は参考書?」と思うような内容の目次です。
全23項目からなる目次ですが、目次だけでは全く内容がわかりません。
ということで、1項目の「君の宝は腐ってないか?」を流し読みしてみました。
ざっくりですが、宝とは英和辞典のことでした。この章では、辞書の活用について触れています。
しかも、いきなり1ページ目から脱線していました。
内容は、「敗戦直後は、タバコが配給制となり、喫煙する大人には足りなかった。それで紙巻きのタバコを作るために英和辞典が使われたとのことです。当時の辞書のインディアン・ペーパーは最適だったそうです。」辞書がタバコに使われてたんですね。参考書の内容には全く関係ないですが、時代背景が伝わってきます。
それでは、引き続き参考書っぽい内容のところを見ていきます。
「私は学生です」を英語で書ける? という章です。
吉川勇一先生が、課題を出されております。
「私は学生です」を英訳せよ。ただし、「a student」という単語を用いないこと。
簡単な課題ですが、「a student」という単語を用いないとなると一気にレベルが上がります。
答えは記載しませんが、画像から内容が伝わるかと思います。
章の最初の部分は、読者への挑戦と書かれております。
本書は比較的簡単な内容から始まり、できないものもありますが、正解をだせるかどうかが問題でないとされ、もちろん自分で考えて答えを出すことが必要ですが、吉川勇一先生の説明を読んで、なぜそれが正解なのかの理屈を理解することが重要となります。先生が伝えた丸覚えではダメというのが、この辺りにも出てきてます。
もちろんですが、この後に本章での本来の目的、重要項目、例題が記載さられております。
この辺を拝見すると、やっぱり参考書だったんだと理解いただけるかと思います。
ちなみに、この章では「状態動詞と動作動詞」もついて説明されております。
一言でお伝えしようとしましたが、簡単にはお伝えできない内容でしたので、こちらの参考書をお読みいただくのがいいかと思います。
本書の大部分は、研究社の月刊誌「高校英語研究」に1992年に掲載された講座を再編集および加筆により新たな章として記載されております。
また、言葉とは人間の社会生活とともに変化する。一時的に古い言葉があっても多くの場合、合理化、簡略化が進む傾向がある。英語の動詞も不規則変化があり、1000年程前の古英語には360ほどあったが、そのうち120は単語として消えてしまったそうです。130ほどが規則動詞に移行し、今では60ほどしか残っていないとのこと。難しい内容ですが、動詞は変化していることを伝えておられます。
本書の特徴をまとめさせていただきますと
・英語の勉強は公式や単語の丸暗記ではなく、基礎を押さえることが重要。
・どの章も独立しているため、どこ章からはじめることも可能。
・ 例題には過去の入試で使用された良問を使用し、全ての問題に丁寧が解説をつけている。
本書を見る限りでは、やはり机の横に置いてわからない内容があれば、辞書的な使い方をする参考書ではありませんでした。
英文法に興味を持っていただきたいという、先生の心のこもった内容です。ただ、設問の解説や例題の解説も丁寧にわかりやすく説明されております。
今回は吉川勇一先生の『大学入試納得できる英文法』を紹介させていただきました。
紹介させて頂いたのはわずか1章のみと解説のみですが、他の項目にも先生の英文法に興味をもってほしいという気持ちが伝わる内容となっております。
また、いつの間にか脱線している文章も読みごたえが満載ですので、是非お手に取っていただきたい書籍です。
これからも当社で発掘できた選りすぐりの良著を紹介していきたいと思います。
次回更新もどうぞお楽しみに!
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