本日ご紹介するのは田崎清忠先生の「田崎パターン英語会話」です。
まず田崎先生ですが、1930年東京に生まれ、独学での英語学習を経て飛行機設計から英語の道に転身し、教職、留学、NHK教育テレビ講師という経験を積みながら英語教育者として名を馳せました。
(オフィシャルブログより)
以前に紹介いたしました國弘正雄先生と同じような経歴を辿っている方なんですね。
全く違う分野の高校に通いながらも、強い意志でもって英語を学び、大学卒業後には最難関の国学留学生の枠を得たことは並々ならぬ努力だったでしょう。
NHK教育テレビは1959年に開局しましたが、当初より國弘正雄先生と並んで、英語講座の要でした。
娯楽性を追求する風潮があった折にも、決して英語教育という初志を忘れなかったと言います。
2010年には英語教育での功績で、「国及び地方公共団体の公務又は次の各号に掲げる公共的な業務に長年にわたり従事して功労を積み重ね、成績を挙げた者を表彰する場合に授与する」瑞宝章を授与されています。
それでは、本の内容はというと、まず「はしがき」です。
英語に接した際、理詰めで解釈し理解しようとする日本人の傾向を指摘し、それが「自然の英語をそのまま使う」という点では非常に不利であり、「理くつ」や「日本語に置き換える」日本人の英会話法に否を唱えています。
日本の大学で10年英語を学ぶより、2.3年アメリカに住んだほうが遥かに英語を習得できるとまで言い切っていますが、日本でも生の英語に触れる機会をつくる努力はできるはずだというのです。
田崎先生当時では珍しい視聴覚教材を用いた授業を行っていたらしく、英語の発音や音声を聞くことで可能な限り生の英語に触れることを重要視していたようです。
本の内容を見てみると
受検英語のような語学的な要素は最小限で、情報が簡素にも見えますがシーンごとに会話やフレーズが見やすいデザインで配置されていて読みやすそうですし、会話形式なので実用的な印象です。
自身でも熱い思いを抱き、苦労して学んできた先生の著作だからこそ、説得力のある内容となっています。
こうして数々の著作ができるまでの背景や著者の経歴を見ていると、教育の歴史の深さを感じますね。
それにしても興味深いのは、英語を習得するには体で覚えるのだ、文法を暗記しても意味がないという主張はこの当時からあり、今でも一つの勉強法として耳にしますが、そのような教育現場をつくることがいまだに実現できていないのは不思議なところです。
海外からの観光客の増加や、東京オリンピックを控えた昨今ならさらなる英語教育の発展が期待できるかもしれませんね。
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