駿台文庫 思考する英文読解 入不二基義

今回紹介させて頂く参考書は、

1993年に駿台文庫から発行された『思考する 英文読解』です。


まずは著者の人物像に触れてみたいと思います。

入不二基義先生は東京大学文学部哲学科卒業後、

駿台予備学校英語科講師や山口大学助教授を経て、

現在は青山学院大学教授で哲学分野の教育指導にあたられています。

51際でレスリングを始めて、試合にも出場する現役レスラーであったりと、

挑戦を続けている、非常にアクティブな人柄のようです。

哲学者による英語の参考書???

餅は餅屋といいますが、

英語英文学を専攻していた方が受験英語本を発行するのが一般的です。

ただそれは英語に対するアプローチを、

文学からの方向に局限しているとも言えます。

哲学と英語は無関係のように思えるかもしれませんが、

世界と宇宙を包括的に捉えようとする試みである哲学において、

あらゆるものを映す可能性を秘めている言葉(ロゴス)は、

昔から深い関心の対象にありました。

本書で言葉に対する別角度からのアプローチを学べば、

英語学習において、

新たな観点と関心を開くきっかけになるのではないでしょうか。


それでは中を覗いてみましょう。


全体のメインテーマとして、

「倫理的に考える、深く理解するとは、

どのような事なのかを追求するための参考書」と挙げられています。

英文を読むことは、様々なレベルで「考える場」を提供してくれます。

それは語句構文の理解といった初期レベルから、

主題背景を読み取るといった事柄のレベルまで達します。

「英文を読む際の頭の働き」を身につけ養うために、

本書は特に以下の点に注意を払って製作されています。

1.英文を左から右へ、上から下へ追っていくこと、
  すなわち「読む」ということは、時間の中で次第に展開していくことを重視している。

2.英文を追いつつ、ときに立ち止まること、
  文や話の構造を一段高い視点から俯瞰することに留意している。

3.単なる分類や結果の掲示にとどまらない解説、
  もう一歩思考の奥に迫るような解説を意識している。

また、使用者のレベルに応じて学習方法が選択できるように、

・別冊(英文と訳例)

・直読ノート

・構文ノート

・語句ノート

といった構成に分かれています。


まず「別冊の英文」を読み、

文中からカタマリや区切りが独力でつかめるか、

文同士の相互関係が理解できるか、

パラグラフの構造が把握できるか等をチェックします。



その後、「直読ノート」を利用して、

かたまりごとに縦に英文をおいかけて行き、

そのままの順序で前後のつながりを再構築しながら読む練習をします。

自然に先に進めなかったり、つながりが見えなくなる箇所があれば、

そこに身についていない盲点があるはずなので、

該当ページ右半分の部分訳や、次ページの解説を助けとして、

英文を前から自然に読むための呼吸を体得していきます。

最終的な目標は、

別冊の英文を解説なしの自力で、しかも英語のまま理解することです。

つながりが見えにくい縦読みで練習することは、

おもりをつけてトレーニングすることと一緒で、

縦に並べた英文のかたまりが抵抗なく読めるようになれば、

もとの英文はもっと抵抗なく読めるといった仕組みです。



また、直読ノートが思考の流れの水平方向的な解説だとするならば、

「構文ノート」「語句ノート」は垂直方向的な解説になります。

それぞれ本編に出てくる重要構文や語句について、

その考え方・読み方を、イメージ図等も使用しながら、

根本的なレベルにまで立ち戻って徹底的に解説しています。

これらを積極的に活用して、

単に表面的な分類や暗記に止まることなく、

論理的に思考し、想像力を駆使することが、

質の高い理解につながっていくということですね。


いかがだったでしょうか。

今回は英語学習を珍しい角度から追求している書籍を紹介させて頂きました。

現在は絶版で手にすることが難しい本書ですが、

『新・思考する 英文読解』の発行企画もあるそうです。

是非実現してほしい案件ですね。

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