
旺文社 解法すいすい理解 数学Ⅰ 1986 渡辺次男
- 出版社: 旺文社 (1986/02)
- 言語: 日本語
- ISBN-13: 978-4010313312
- 発売日: 1986/02
- ページ数:343項
今の受験生の方々は渡辺次男先生を知らないと思うので少しだけ略歴を紹介させてください。
- 1916年生まれ
- 秋田県出身
- 東京理科大学数学科卒
当時は東京物理学校と呼ばれ非常に難関校のようでしたが、卒業後に研究所で働かれておりましたが、その後、予備校で40年以上指導されてきた講師です。
40代以上の方には『なべつぐ』の愛称で浸透しておりました。下記の記事でも紹介させていただいておりますので、よろしければご覧くださいませ。

全5章からの構成となっており 第1章の数と式から、第5章の三角比まで要点がまとまっており
非常にわかりやすいです。
この本は、はしがきから面白さが伝わってきます。
『本書の使い方と学び方と棄て方』・・・棄て方まで書いている本は今まで見たことがないです。
ここの内容で気になったのが
われわれは、一見して、必要でないもの、ムダなもの、いや場合によっては害であるものすら学ばなくてはなりません。
確かにそうだと納得してしまいました。
受験勉強のときは、ムダなことまでいろいろと覚えた記憶があります。でもその頑張りが、充実感につながりますよね。
そして、ノートの作り方も丁寧に説明されております。
一般的なノートはこんな感じだと思います。
当方も学生のころはこのような書き方だったと思います。
・問題を記入
・解答を記入
・重要点は色ペンで記入
しかしながら、渡辺次男先生のノートの作り方は一味違います。
・問題文の書き方
・計算で使う欄
・余白が足りない時の対処
など、非常に参考になる内容です。
ある方が、この本は数学が苦手な方に参考にしていただきたい本だと書かれていました。
数学は好き嫌いが大きく分かれる教科だけに教える側は非常にやりにくい教科だと。
この本では数学の問題をタイプ別に分類し、次にタイプ毎の重要な解法をすべて列挙し、具体例を挙げて説明する教え方は当時画期的なものでした。
教師と生徒とのユーモアを交えた対話形式を採用したり、
随所に数学的ポリシーが散りばめてあったり
細やかな配慮が伝わってきて数学が楽しくなります。
この「数学I」は1980年代に一層充実した形で発刊されたもので、それ以降も様々な参考書が発行され続けているが、数IAの範囲に限って言えば、これを超える参考書は未だ出ていないと思います。
また、渡辺次男先生の本には『あすなろシリーズ』が有名でありますが、その違いを
本書では紹介しておられます。
あすなろシリーズは
学ぶ人の主体性を制約した本(短時間で効果を出すための本)、なのに対し、
解法すいすいシリーズは、
本人の主体性に任せた本(本人の判断に任せて学習する) となっております。
当方はこちらの『解法すいすいシリーズ』が非常に面白いと思ってしまいます。
渡辺次男先生の著書で「解法すいすい」シリーズは基本的に見開き2ページで完結しております。
だから、途中から初めたり、勉強したいものだけをするのも大丈夫です。
また冒頭にマークがあり、基本事項は○、後回しにしていい難易度の高いものは●
があり、判りやすさを重視されております。
出版から随分たちますが、内容はまったく今の参考書に劣りません。
また、どの本も中古で高額で流通していますが、近年の参考に勝るとも劣らない。
それだけの価値はある内容だと思います。
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