本日は「東京出版 大学への数学 東大入試 46年の軌跡 CD-ROM版 2004」を紹介させていただきます。
おなじみ『大学への数学』の増刊号であります『入試の軌跡』シリーズ。
当ブログでも過去に『入試の軌跡 京大』を紹介させていただきました。
今回の記事は、その『入試の軌跡』のCD-ROM版です。
冊子版では過去10年間の入試の軌跡が描かれていましたが、こちらCD-ROM版はなんと46年!
紙媒体では不可能な圧倒的なデータ量を引っさげて現れたCD-ROM版は、パソコンならではの機能も充実しています。
東京出版の公式サイトに詳しい画像がありましたので、あわせて見てみましょう。
紙媒体では大変な「検索」は大きな強みですね。
また、「発想力」「処理力」など問題のカテゴリー別表示もできるようになっており、
気になる分野の問題だけを選んで解くこともできるようです。
さて、このCD-ROM版は「京大版」と同時発売されました。
どちらも1958年~2004年の過去問が収録されているのに、
東大が「46年の軌跡」で、京大が「47年の軌跡」というのはちょっと不思議ですね。
今の受験世代には遠い「歴史」の話になるかもしれませんが、
実はこの期間中、東大入試は一度だけ中止されたことがあったのです。
こんな映像は見たことがあるかもしれません。
1969年、東大医学部の待遇改善運動から拡大した学生運動は、ひろく大学運営の民主化をスローガンに「東大紛争」へと発展し、一部の学生はバリケードを築き、東大の象徴である安田講堂に「籠城」しました。
機動隊による突撃と放水という「攻城戦」の結果、武装解除に至りましたが、この影響により1969年の東大入試は中止となりました。
当時、東大志望の多くの受験生は浪人を余儀なくされ、社会に大きな影響を及ぼしました。
東大はこれを機に入試改革を決断。
一次試験を3教科から5教科に増やす一方、二次試験の教科を減らすかわりに論述式を採用しました。
この傾向は1979年の共通一次試験、1990年のセンター試験にも応用されています。
共通一次からセンター試験への改革は、大学が闘争の現場となった衝撃から生まれたのでした。
「東大紛争」がセンター試験のルーツになっている、と考えると、そう遠い出来事のようには思えないように感じますね。
「46年の軌跡」の空白の1年とは、大きな意味をもった1年間だったのです。
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