文英堂 苦手だけど受験に人のためのベクトル数学B 下村哲 2000年発行

今回も、当社で発掘できた絶版書籍の中から選りすぐりの良著を紹介させていただきます。

今回、紹介させていただく1冊は、2000年発行の絶版本となり、当時はベクトルを理解するための参考書や問題集がなく、そんな苦手な生徒に向けたベクトルだけに絞った厳選に厳選を重ねてた参考書です。
そして、受験生には、「ベクトルって意外と簡単だ!」と思って頂きたいと、著者の思いを込めた一冊です。


『文英堂 苦手だけど受験に人のためのベクトル数学B 下村哲著書 2000年発行』

こちらの参考書を手掛ける『文英堂』といえば、だれもが見覚えのある『∑ベスト(シグマベスト)』で有名な参考書を多数発行されているので親しまれている方も多いはずですよね。
近年では、小学生向け「くわしいシリーズ」、高校生向け「これでわかるシリーズ」などは有名な参考書ですよね。
∑ベストの書籍は過去にも紹介させて頂いておりますので、ご参照くださいませ。


著者は、河合塾の講師で有名な「下村哲」先生となり、先に下村先生プロフィールを紹介させていただきます。

下村哲先生は
1967年生まれ、元河合塾非常勤講師。
広島大学助手を経て、明石工業高等専門学校講師をされています。
下村先生曰く、「解りやすく、丁寧な授業を心掛け、数学が好きになる人が一人でも増えることを願っている。」とのことです。
著書には「ほんとはやさしいセンター」シリーズなどがあり、こちらも∑ベストの参考書となります。


今回は、そんな著書の中から『苦手だけど受験に人のためのベクトル数学B』を紹介させていただきます。

それでは、本書を目次から見ていきたいと思います。

目次 標準~基本編

目次 標準~基本編

目次 応用編ーセンター試験にチャレンジ

目次 応用編ーセンター試験にチャレンジ

目次を見させていただきますと、25項目よりなっております。

・基本~標準編
・応用編
・センター試験にチャレンジ

となり、オーソドックスな順次問題の難度が上がるスタイルとなっとおります。
こちらは、下村先生の考えがあってのことで、河合塾で教えておられた際に、ベクトルが苦手な生徒が非常に多く
生徒に意見を聞いた時に

・公式は知っていても、問題が解けない。
・解答解説を見ると理解はできるか、次は解ける気がしない。
・何から手を付けていいかわからない。

などの、
「なんとなく理解しているが、解く自信がない。」
「ベクトルがとても苦手なので何か良い参考書や問題集はないですか。」
という意見が大半だったようです。
そんな生徒のためにも、基礎からキッチリ学習できるように構成しております。

ページを進めて行きますと、まず付録として「初等幾何」について詳しく説明があります。

知っておきたい初等幾何

知っておきたい初等幾何

ベクトルを学ぶ前知識

ベクトルを学ぶ前知識

ベクトルを学ぶ前に必要な知識として、中学での学習から振り返って説明されています。
この辺りの説明は、流し読みで十分かと思います。別途本文で詳しく説明されております。

初等幾何 チェバの定理とメネラウスの定理

初等幾何 チェバの定理とメネラウスの定理

下村哲先生によりますと、ベクトルの問題を解くにあたり「チュバの定理」「メネラウスの定理」が重要だとされています。
なにやら、聞きなれない「定理」が2個も出てきました。当方も理系で幾何は勉強した覚えがありますが、全く覚えがございません。
ので、学習要項を少し調べてみました。

高等学校における数学Aの「平面幾何」では,学習の目的を「直観的な判断を基にし,論理的な思考や記述を通して理論を体系化していく能力を育成する」ことにおいている。ところで学習単元としての「平面幾何」は,昭和53年8月に出された学習指導要領から削除され,それ以降高等学校では扱われていない。解析的手法を用いて論理立てて演繹していくことを主にした高等学校の数学教育の中では,学習者の直感力に依存しがちな論証幾何は高等学校数学の学習体系に乗っておらず異端であるという見解や,論証幾何の指導では認知的な裏付けを持った指導が確立させておらず,解る者にのみ解る指導になりがちだという見解等幾つかの否定的な見解もあるが,論証幾何を学習する中で身に付く様々な習慣や,問題解決の方略の訓練に適しているという主張も同時に紹介されてきた。しかし,学習の意義がどのように高くとも,現実に学習しづらいという側面は無視できない(略)
(「チェバ及びメネラウスの定理」の指導)より

私が学んでいた時代には、「チュバの定理」「メネラウスの定理」は学習指導要領より削除されていたと思われます。
現在はどうなんでしょうね。
私立の進学校では、中学から教えているところもあるようですが、大手進学塾でも、学習するかと思います。

実戦問題

実戦問題

こちらの参考書では各項目で実践問題が掲載されており、その難易度を3段階で記載されているのも特徴となります。
教科書レベルの基礎問題からセンターレベル、入試上級の問題まで難易度があり、自分の実力を把握するのにもよいです。

基礎~標準編 POINT HEAD-LINE

基礎~標準編 POINT HEAD-LINE

本編では、まず「POINT HEAD-LINE」という項目で内容の概要と入試のポイントを示しています。
ここは全て覚えておく項目ばかりです。もちろんこちらは概要のみで、本文で詳しい説明がされておりますのでご安心ください。

基礎~標準編 解法手順

基礎~標準編 解法手順

基本~標準編 重要POINT

基本~標準編 重要POINT

実力を確実に付けるためには、まず実戦問題を自力で解いてみる必要があります。
実戦問題には教科書での重要問題や入試で使用された良問、入試問題に下村先生独自の改良を加えた問題などがあり、どの問題も入試を見据えてのレベルに仕上げてあります。
また、簡潔に書かれた解法は解りやすいにつきます。
吹き出し内は特に重要な項目となりますが、説明が簡潔なので理解が深まります。

センター試験への取り組み

センター試験への取り組み

センター試験対策も十分にされております。
各例題に制限とつけたり、ミスをした際のリカバリー方法、時間配分などなど、下村先生のアドバイスを信じて読み進んで見てください。

最後になりますが、今回も、本書を利用された熱心な方のコメントがありましたので、少し紹介させていただきます。

中学幾何の復習から、教科書の練習問題レベルから入試基礎レベルまでを丁寧に、ひととおり解説している。「苦手だけど~」の基本コンセプトどおり、例題数をしぼって講義調で説明してあるので、基礎知識がなくてもベクトルについてひととおりの知識が得られる。
最終的には他の本で問題練習をすることになるのだろうが、そこまで行き着けずに「数学B」をあきらめてしまう人が非常に多い中で、このような本が存在する意義はたいへん大きい。
「ベクトルが苦手」=「ベクトルに関する知識はゼロ」という高校生の実情をよく分かって書いており、感心した。時間の関係もあろうが、ベクトルの基本処理をきちんと教えてもらえない高校生は思った以上に多いようで、この本の潜在需要の高さがうかがえる。

本書の特徴をまとめさせていただきますと

・中学レベルの復習からくわしく説明してあるので幾何の読解と基礎の考えが身に付く。
・マスターしておくべきテクニックが随所に吹き出しで記載されていてポイントがわかりやすい。
・必要な予備知識が例題の文中に記載されているので、基礎参考書としてはの十分です。

今回は下村哲先生の『苦手だけど受験に人のためのベクトル数学B』を紹介させていただきました。
紹介させて頂いたのは、わずかな項目のみの内容ですが、本文には84の実戦的例題があり、先生のこだわりの考え方が掲載されておりますので、是非お手に取っていただきたい書籍です。

これからも当社で発掘できた選りすぐりの良著を紹介していきたいと思います。

次回更新もどうぞお楽しみに!

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