正林書院 親切な物理Ⅱ 基礎編 渡辺久夫著書 1979年4月発行

本日も、当社で発掘できた絶版書籍の中から選りすぐりの良著を紹介させていただきます。

今回、紹介させていただく1冊は、1979年(昭和54年)発行の古い参考書となります。以前に「親切な物理Ⅰ」を記載させていただきましたが、その続編となり昭和48年から物理がⅠとⅡに分けられたのを機に、本書も物理「親切な物理Ⅰ・Ⅱ」と再編し発行された1冊です。
高校で習う物理教科書の内容を面白く理解できるよう盛り込まれた参考書でもあります。


『正林書院 親切な物理Ⅱ 基礎編 渡辺久夫著書』

こちらの参考書は
基礎の事柄を重視することと、何回も繰り返すことにより難しくてわかりにくい物理が身につくように配慮されてます。
本書を利用して学習された学生からも、「物理が面白くなった」という意見がが多くよせられ、物理が「わかる」「身につく」をメインに構成されております。

著者の渡辺久夫先生のプロフィールは前回「親切な物理Ⅰ」でも紹介させていただきましたが、少し振り返らせて頂きます。


渡辺久夫先生(1908 – 1993)は
旧制東京高師を卒業
旧制彦根中学、京都二中、京都教育大学を歴任
渡辺先生は物理学の研究者でありながら、学生への物理の教育方法について研究された貴重な先生です。
身をもって生徒の啓発指導当たられた数少ない研究者です。
「日進月歩の物理学の基礎を、どうして、正しく、効率よく、確実に、学生に理解させるか」を渡辺先生は実活動の成果を
この参考書にも盛り込み、読者にわかりやすいように説明されております。

渡辺先生の趣味は、物理の実験器具制作という、部類の物理研究者です。


それでは、「親切な物理Ⅱ 基礎編」を目次から見ていきたいと思います。

目次 第Ⅰ編

目次 第Ⅰ編

目次 第Ⅱ編

目次 第Ⅱ編

目次 第Ⅲ編~第Ⅴ編

目次 第Ⅲ編~第Ⅴ編

目次を見させていただきますと、計16章の構成となり、41項目からなっております。
「親切な物理Ⅱ」も項目数が多いので解きごたえがあります。しかも項目数が多いにもかかわらず、「どんどん進めることが出来る」と使用された受験生からも好評となります。

そもそもこちらの参考書は、数学は得意だけど物理が苦手という方に合うかと思います。
物理には計算や三角関数、代数などの知識も必要です。数学の知識がないと物理はモノにできないので
その辺の説明も付随しております。

そのためかどうかわかりませんが、数学の公式や三角関数真数が付録されております。
私もsin、cosなどは昔に勉強した覚えはありますが、全く覚えてません。
数学は得意科目だったんですが、全く覚えてません。
最近も、ヤフオクの弊社販売物で「定年を迎えたが、もう一度勉強がしたくて予備校のテキストを買いました。」
というお客様もおられました。
少し気持ちがわかるような感じです。

話がそれましたが、

三角関数真数表

三角関数真数表

続いて本文を見ていきます。
要点をつかみやすくするために、各項目「A」「B」などの記号に続いて、本文に重要項目を載せてこれを説明する説明文から構成されています。
2部分にわけることにより、わかりやすくされております。

第Ⅰ編 力学

第Ⅰ編 力学

本書の進め方として、本文を十分に理解してから例題を行う。その後に問題に取り組む。
問題が解けない場合は、各問題の末尾に本文対照表が記載されいます。いわゆるヒントのような内容ですが、そこを一読し理解してから再度取り組んでいるのがよいでしょう。

さらに問題も「基礎」「必須」があり、自分の学力に合わせて学習が可能となります。
「必須」はレベルが高く設定されておりますので、自分の学力を知る上でも判断基準になりそうです。

例題と解き方

例題と解き方

やさしい大学を目指すのであれば、「本文」「例題」「基礎」のみで十分ですが、上の大学を目指すのであれば「必須」問題をこなすようにしましょう。

一般的な参考書や問題集は、解答が単に数値だけだったり、簡素すぎる解説だったりと、物理が苦手だという人には勉強が進まず嫌なものです。
一足飛びに難しい問題を解かせようとすると、自力で問題が解けないので解答を見てしまう。解答を見ても理解ができないという悪循環に陥ります。

こちらの参考書では、法則と問題との中間にあたる説明や「例題」を豊富にし、解答の中にもメリハリをつけ、下線や太字により重要点を明らかにしているため、わかりやすいと評判です。
タイトル通りの「親切」が伝わってきます。

そして、イラストによる説明が付随するのでわかりやすく、物理にはこのようなイラストは必須です。
下記のイラスト入り説明などは、誰もが知っている「フレミングの左手の法則」などは非常にわかりやすいです。

フレミングの左手の法則

フレミングの左手の法則

どの項目にもこれだけの挿絵による説明がありますため。わかりやすいのが伝わりますでしょうか。

今回も、本書を利用された熱心な方のコメントがありましたので、少し紹介させていただきます。

「物理は難しくてわかりにくい」これは受験生の共通の悩みです。その原因は、わからないまま丸暗記するからで、(中略)物理が身につくと面白くなってくる。高校の教科書では説明が簡単であり、先生の説明も時間不足のせいか、十分でない。その補助としてこの参考書は役に立つ。基礎力を養うのに適していて、具体れをあげ、例題を豊富にしているので理解が増します。

本書の特徴をまとめさせていただきますと

・教科書の内容を完全に理解させる親切な編集。高校での物理Ⅱを学ぶ人に最適。
・便利な本文対照表により、問題を解く力がつく。
・ 問題の解答だけで60ページを費やした詳しい解説、解説の中にもイラストや重要ヶ所・注意点を明示。

今回は渡辺久夫先生の『親切な物理Ⅱ 基礎編』を紹介させていただきました。
紹介させて頂いたのはわずかな項目と例題のみですが、他の項目にも先生のやさしい解答解説が掲載されておりますので、是非お手に取っていただきたい書籍です。

これからも当社で発掘できた選りすぐりの良著を紹介していきたいと思います。

次回更新もどうぞお楽しみに!

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  1. 日本評論社 数学セミナーリーディングス 増刊 線形代数ベクトルと行列 1974 矢野健太郎

  2. 論創社 スーパー英文読解演習1 富士哲也

  3. 知らなきゃ差がつく英単語 へんとつくりの正しい理解 1984 長崎玄弥

  4. 駿台文庫 新数学問題の解法360②方程式とグラフ 上田惇巳

  5. 研究社出版 毛利良雄の大学入試シリーズ 英文法の急所 毛利良雄著 1982

  6. 駿台文庫 時事英文問題演習 1987 高橋善昭

  7. 旺文社 堀木の読めてくる現代文1 基礎づくり10+1講 1992 堀木博禮

  8. 洛陽社 くわしい日本史の新研究 1989 安田元久

  9. ごま書房 福崎流・合格への英語 1997 福崎伍郎

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