当ブログにお越しいただきありがとうございます。 今回はこの書籍を紹介させていただきます。
1994年に三省堂より発行された「大学入試 英語長文要約法」です。
本書は英文を的確に理解したうえで和訳し、訳文の文章を簡潔に要約する技術、つまり「長い原文のエッセンスを凝縮すること」について書かれた参考書です。著者は良い要約文の条件を「読み手が原文にあたらなくても、その文章の基本的な情報が得られ、原著者の発想がわかること」としており、良い「英文和訳」から、良い「和文要約」を目指すためのポイントが詰まっています。
著者は谷田貝常夫先生と中村保男先生で共著となっています。
両名ともにいままでに紹介したことのない著者ですので簡単に紹介したいと思います。
谷田貝常夫先生 東京大学文学部卒業後、普通土学園教頭を勤め、文章の書き方や言葉の使い方に関しての造詣の深さを生かして、受験指導や問題解説に力を入れていました。著書に本書の姉妹編である「大学入試 読解と記述のための現代文要約法」があります。この「大学入試 読解と記述のための現代文要約法」は大学受験生に現代文の読解に役立つと高い評価を得ていました。また、英米文学翻訳家でもあります。
中村保男先生 東京大学文学部英文科卒業後、同大学院修士課程修了。在野の福田恆存に師事し、1957年福田を中心に沼沢洽治、谷田貝常夫、横山恵一と読書会「蔦の会」を結成します。その後はコリン・ウィルソンの「アウトサイダー」、チェスタートンの「ブラウン神父シリーズ」など数々の本を翻訳し、訳書の総計はフィクション(SFやミステリー)だけでも100を超えるそうです。 著書としては、主に英語と翻訳に関するもので、中・高校生向の『英語なぞなぞ集』や一般向けの『翻訳の技術』、専門家向けの『翻訳の秘訣』など様々な本を出している。また、翻訳業と併行し、立教大学、慶應義塾大学、早稲田大学などの大学講師としても働いていました。 残念ながら、2008年に肺炎で76歳でなくなられていました。
現代文要約、英文和訳のプロである、この2名の共著により良い「英文和訳」から、良い「和文要約」というノウハウが詰まったこの参考書が生まれたのですね。
では、内容の紹介に入らせていただきます。
こちらははしがきの部分になります。 要約問題では知識の量や理解力の判定だけでなく全体を見る力を試されています。全体がわかっていないと部分を間違って解釈してしまう恐れがあるということです。要約についての参考書がほとんど出ていないときに、全体の意味を理解しやすいように「理解しやすい直訳」を目指して作らたこの参考書が出たのは受験生にとって、とても心強かったのではないでしょうか。


次は目次です。 目次は章毎にわかれており、その章の題材に対してのポイントが記載されています。目次を見るだけでも要約の際にこういったことに気をつければ良いというのがわかりますね。
こちらは1章の7 自分のことばに置き換えて要約する のページです。
このように要約についての英文があり、その和訳があるという作りになっています。このページでは自分のことばに置き換えるが、本文に書いてある以外のことを入れてはいけないので、どうすればいいかのポイントをわかりやすく説明してくれています。このように各章で要約のポイントをわかりやすく教えてくれるのが本書になります。
今回、紹介させていただきました「大学入試 英語長文要約法」はいかがだったでしょうか?
この本は、入試英語のなかでも難しい要約問題の解き方を、わかりやすく理論と演習の両面から伝授してくれる参考書です。
英語の長文を要約し、要点をまとめる技術は海外の情報などをまとめたりする職業なら社会人にも役立つものであると思います。また、本書にある英語から日本語への要約のコツは、逆に使えば、日本語の内容を英語にするときの手助けにもなりうるのではないかと思います。
このように、受験生だけでなく良い「英文和訳」から、良い「和文要約」を目指す全ての人に役立つ本であると思います。
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