今回紹介させて頂く参考書は、
2000年に文芸社から発行された『ラクラク英単語記憶術』です。
文芸社は東京に本社を置く出版社で、
通常の商業出版のほか、著者が自費出版で負担することで、
全国にある文芸社の提携書店に流通を依頼するといった仕組みも手掛けているのが特徴的です。
2000年頃といえば一般家庭にパソコンやインターネットが普及し始めた時代。
英語に触れる機会も必然と多くなり、
文法や読解に偏ってしまっている日本人の英語力不足が問題視されていました。
著者の鈴木邦弥先生も大学卒業後、
50ページ足らずの英語週刊誌を読んだ際に、
自分が理解できない、日常的に外国人が使っている英単語が、
こんなにもあるのかとショックを受けたそうです。
まずは英単語を正しく理解できなければ、聞く力も話す力も養えないものの、
受験で無理やり詰め込んだ知識は社会に出ると、記憶から消え去ってしまうのが事実。
そこで本書では語源と連想による記憶の定着をオススメしています。
それでは中を覗いてみましょう。
まずは起点となる37個の基本単語の語源解説から始まり、
そこから派生的な意味を生み出しているパターンの紹介や、
語源的な関わりはなくても、連想による関心領域と捉えられる部分も合わせて解説することで、
最終的には1100の単語に結び付くように構成されています。
例えば「alcohol」のページには、
work(仕事)とalcoholic(アルコール中毒)の合成語であるworkaholic(仕事中毒)の紹介や、
関連語としてbeverage(飲料)やdistill(蒸留)の解説。
さらに「beverage」を掘り下げると、
古期フランス語の beivre(飲む)+ age(もの)が語源であることから、
「bev」や「bib」には飲むというイメージが付いていることが分かるので、
bib(飲む)cock(栓) ⇒ 蛇口
im(中に)bibe(飲む) ⇒ 吸収する、受け入れる
といった具合に連想していくことが出来ます。
他には、巻末付録で語源を知る上で役立つ接頭語の知識を紹介しています。
こちらも基本語を覚えると、類推で多くの未知の単語さえも意味を理解できるようになるので、
勉強のモチベーションが上がると思います。
接頭語philの語源はギリシャ語のphilein(愛する)
phil(愛)sophy(知への) ⇒ philosophy(哲学)
大脳生理学の分野においても記憶のメカニズムとして、
長期記憶の貯蔵庫を連想によって呼び起こし、新しく入ってきた短期記憶の情報と結びつけ、
繰り返し強化することが効果的とされています。
違う観点からの単語記憶法に是非チャレンジしてみて下さい。
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