今回紹介させて頂く参考書は、
清水書院から発行された『徹底学習 日本史の完成』です。
清水書院は東京都に本社を置く出版社で、
1946年の創業以降、主に社会科の教育関連書籍を出版,販売しています。
学生時代に同社の教科書にお世話になったという方も多いのではないでしょうか。
時野谷勝先生は、1911年に東京都に生まれ、京都帝国大学文学部国史学科を卒業。
専門分野である日本史学を通して学問の発展に寄与されました。
昭和前期に文部省によって設置された国家史の編纂組織である、
国史編修院の編修官に任命されていたという経歴があり、
日本を代表する史学のエキスパートであったことが伺えます。
それでは中を覗いてみましょう。
はしがきでは日本史学習をはじめる上でのコツを解説しています。
教科書の単元構成に準拠して、いわば時代史的に順番になぞっただけでは、
興味を引き起こすことができず、学習効果を十分におさめることもできない。
日本史の発展の跡を時代の流れにしたがって理解すると同時に、
各時代における重要事項の適格な理解や、
政治経済・文化など諸部門のテーマについて、各時代にまたがる一貫した流れなど
種々の視点から日本史を研究することで初めて学習効果をあげることができるとしています。
歴史を多角的に分析し総合することが、学習知識を身につける正道ということですね。
本書には2つの大きな特徴があります。
【特徴1】
限られたページにいかにして重要な記述をもれなく盛り込むか、
、
少ない時間に学習効果をあげるためにはどう掲載すべきかといった観点から、
・日本史上の重要な主題に関する巨視的な概要
・時代史を叙述している本文
・重要事項の詳細な解説
特にこれらをキーポイントとし、調和の取れた構成にまとめあげることに努力がそそがれています。
もう少し詳しく触れると、
時代毎に章で区切り、さらにいくつかの節に分かれていて、
学習の目標が立てやすい構成になっています。
①主題,導入部
各節の最初に、その節の主眼点を要約している。
②学習内容の概説,叙述部
教科書にある事項はもらさず、かつ簡潔に説明してある。
随所に史料・地図・写真・表などを豊富に挿入し
正確な理解と鮮明な印象による学習効果の向上を図っている。
③事項解説
日本史理解に必要な事項,人名に詳細な説明を加えてある。
辞典的機能を持っているので通史学習の肉付けに便利。
④復習問題
試験の実地に役立たせるためのもの。
【特徴2】
日本史を時代的に原始-古代,中世,近世,近代-現代の4つに大別し、
それぞれの時代について学識と教育経験を積んだ4人の専門学者に執筆者を分担し、
著者が執筆,編修するという形をとっています。
この形式により本書の内容を正確かつ格調高いものにしています。
日本史のプロが結集して生まれた1冊。
時間がない方はもちろん、じっくり腰を据えて学習したい方にもオススメの本です。
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