なべつぐの数学はこれで得意になれる 渡辺次男著 旺文社 1986年

本日ご紹介するのは、渡辺次男先生、通称「なべつぐ先生」著の
『なべつぐの数学はこれで得意になれる』です。

数学講師として有名な「なべつぐ先生」については、既にご存知の方も多いかと思いますが、簡単にご紹介させて頂きます。

1916年秋田県生まれ。
東京物理学校(東京理大の前身)数学科卒。

気象研究所、気象大学、明星大学を経て、東京理大講師となる。
予備校講師歴は30年以上というベテランで、独特のマンツーマン指導では、
“必ず合格できる”と評判の先生です。

著書も数多くあり、その一部がこちら。

●確率統計 (なべつぐのあすなろ数学)
●なべつぐの代数・幾何9の原則
●合格の秘訣おしえます!―なべつぐの必勝受験講座
●なべつぐの基礎解析12の原則   etc….

以前にもなべつぐ先生の著書を紹介しておりますので、是非こちらもご覧ください。

とにかく数学教育ひとすじの先生で、
『どんなに数学がニガテな人であっても、本人のやる気さえあれば、数学を得意にする自信がある』
と仰られています。

本書のまえがきには、

『超能力を使って駅の反対ホームに飛び移る事は物理的に不可能だが、
“突然数学ができるようになる”というのは起こり得ることだ』

と書かれています。

それが、なぜか・・・・。
それは本書を読めば合点がいく、とのこと。

『では、また、終わりに、変身したキミと出会うことにしよう。』

という台詞でまえがきは締めくくられていました。

約160ページを読み終えた後、どれだけの変身を遂げているのか、今から楽しみです。

それでは、内容の紹介に移っていきましょう。

数学が嫌いと言う人の中には“擬似数学ギライ”の人がいるそうで、これは何かというと、
例えば数学よりも好きな科目を中心に勉強をしていた為、相対的に数学がいやになってしまった、とか、
数学の問題というのは、解答を導くために様々な方法があるにも関わらず、
先生の教える解法通りでなければ、点をもらえなかった経験がある、等など。
理由は様々ですが、数学自体が嫌いなわけではないのに、周りの環境によって
嫌いだと勘違いしてしまっている人がいる、ということですね。

数学ギライは、多くの場合、つくられたものである。本来の数学ギライなどというものはないのだ。

となべつぐ先生は言います。

それでは、“擬似数学ギライ”というものが存在する、ということを踏まえた上で、先の内容を見ていきましょう。

受験生の数学に対する態度は、大きく「不得意でキライ」「不得意でスキ」「得意でスキ」の3つに分ける事ができるそうですが、
本書では、まず自分がどのタイプなのかを知っていくことから始まります。

まず初めに、なべつぐ先生が過去に出会った生徒達の話を例に取って、上記3つのタイプの生徒それぞれの特徴や陥りやすい問題点が具体的に書かれています。
一般論的な話ではなく、なべつぐ先生の実体験を元にした内容になっている為、イメージがわきやすく、
自分がどのタイプに属しているかもすぐにわかるようになっています。

自分自身がどのタイプなのかがわかってきたところで、ここからは≪勉強の始め方≫や≪勉強方法≫について学んでいきましょう。

数学ができるようになる為に、大事なのは以下の3つ!!!

①“決心”をすること
②“持続”すること
③“答案”に徹すること

最後までやり遂げる決心をすること、決心したことを継続させること、
答案を書いてわからないところに出会ったら、徹底的にその問題と向き合うこと。

数学に限らず、何かを成し遂げるにはどれも欠かせないものですよね。

 

この基本の基本を意識しながら、ここからの各論はもっと実践的な内容になっていきます。

各論の最初にはこんな一文が。

大切なことなのに、忘れていませんか?

私達は何か基本的な事を忘れてしまっているのでしょうか….

各論を一部抜粋したものがこちら。

(1)どうしても手がつかない問題にどう対処するのか。
(2)わかってからやる、ではいけない
(3)ケアレスミスをなくすには
(4)力をつける最大の方法は別解をつくることだ
(5)図は定規とコンパスで正確にかくべし


各論でなべつぐ先生はこのように仰られています。

さっぱり糸口がつかめない問題に直面した時には、その問題を大きい声で読むといい。
目で見て、声を出して読み、耳で聞くのである。それを見ないで説明できるまで読むのだ。(各論1より)

まずは何度も問題を読み込んで、問題をよく知り、そして分解して単純化させていくことが一番の近道ということ。

問題を理解する事に重点をおいてはいけない。理解してから問題を解いてみようなどと思ってはいけない。
理解するために問題をやるのである。(各論2より)

問題が解けたから進歩するのではなく、問題をやったから進歩するのだ、と先生はいいます。
結果だけではなく、過程が非常に大事だということですね。

ケアレスミスというのは、実は数学からくるものではなく、もっと心理的なものである。
ケアレスミスをなくすためには、自信をもたなければいけない。(各論3より)

日頃から間違えた問題を何度も一からやり直して、“間違えない経験”を積んでいく事が必要なんだそうです。
確かに、自分の努力や経験に自信があれば、いざと言う時に緊張せず対応できますよね。

このように、なべつぐ先生ならではの切り口で、学生がぶち当たる壁の対処方法が具体的に記されています。

なるほどなるほど!と目からウロコの内容が満載で、今まで壁にぶち当たる度に目を背けてきた数学が、なんだか面白く感じてくる内容になっています。

この本を読み進めていくうちに、“擬似数学ギライ”だったことに気づく人も多いはず。

“大切なこと”を思い出すきっかけとなる1冊になりそうです。

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