本日紹介するのは
「学生社 精講生物Ⅰ」です。
こちらは同出版社が1953年に初版発行した「学生社 生物 吉岡俊亮」を元に増補改定を行い出版されたものです。
著者の吉岡俊亮先生は東京大学理学部を卒業した後、同学部大学院、東京大学医学部解剖学教室、東京医学専門学校教授等、理学・医学の分野で幅広い教育を行い、後に東京大学医科大学名誉教授になられた方です。
そして初版から1回目の増補改定に携わった石田周三先生
さらに本書に至る増補改定に携わった牧野尚哉先生と八重樫健弐先生
生物学の本なだけあって、その方面の分野で偉大な方々が携わっていますね。
こちらが目次です。
全5章に渡り、生物の発生から変異まで纏められております。
私は複雑な遺伝現象や生物エネルギーの項目等に興味をそそられます。
はしがきを見てみますと、指導要領の改訂等、時代の流れと共に本書の改定が如何に安易じゃなかったかを想像できる文章がありました。
第一の障害は、最近の指導要領の改訂を、われわれが必らずしも改良を感じ得ない事あった。それはたぶん、われわれが、古い時代に育ったためであろう。でも、古いことは悪いことなのであろうか。指導要領は「生命の連続性」をうたっている。その生命の連続性の結果としてうまれた人類が生み出した学問もまた、「学問の連続性」を認めるべきではないのだろうか。
こちらの一文が筆者達が時代の流れ、学問の進化に対しての問いとしてうまく表現できていると私は思いました。
はしがきを読んでいて、初版に対しての想いが伝わってくる文章になっております。
本書の特色は、記載されている通りに
・文部省の高等学校の指導要領(生物I)に準拠していること。
・大学受験の為の参考書として内容豊富であり、十分以上に高い水準を保っていること。
・大学に入学してから生物学を履修・聴講する学生のためにも、予習・復習を助ける絶好の参考書としての内容を備えていること
大学受験の為だけではなく、入学してからも使える参考書は素晴らしいですね。
何度も批判・議論した結果に対してもまだまだ加筆・訂正・増補を繰りかえし「完全」を目指している情熱が、読み手にも伝わる内容です。
今では中々お目にかかれない本書ですが、是非一度読んでみて頂きたいと思います。
こちらが本書の内容で私が思わず読みふけってしまった1ページです。
昆虫の生態、幼虫から蛹になる過程での突然変異、及びそれらがもたらす固体への影響を図を交えて説明しているものになります。
普段目にする昆虫でも、深く掘り下げると色々知らないことが多く、どこを読んでも新しい知識が頭に入ってくるので、読んでて楽しいですね。
発行年度の古い書物で得た新鮮な知識、時代の流れがどうなろうと、人の知的好奇心の根底は変わらず、古書で新たな発見、みなさんも如何でしょうか。
それでは次回の更新をお楽しみに!
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