本日は「開文堂 英文和訳着眼点 1929 岡田実麿」をご紹介させていただきます。
旧漢字は常用字体に改めてご紹介させていただきます。
表紙のタイトルは右から読むようになっていますね。
本文も横書きで書かれていますが、現代同様、左から読むようになっています。
一説にはこの右から読む横書きの文章は、
縦書きと同じ要領で一文字ずつ改行している感覚だそうです。
著者の岡田実麿氏は1878年広島県の出身で、戦前の英語教育では非常に著名な先生です。
慶應義塾卒業後にアメリカへ留学、帰国後は神戸高等商業学校教授を努められました。
1907年に新渡戸稲造に請われて、夏目漱石の後任として第一高等学校教授に就任しました。
1924年からは明治大学予科教授となりました。
同僚には駿台予備校の創立者である山崎寿春氏がいました。
山崎氏と駿台予備校については、以前も当ブログでご紹介しております。
岡田氏は駿台予備校の看板教授だったそうです。
また岡田氏は、自然主義文学の傑作とされる田山花袋の「蒲団」に登場する横山芳子のモデルとされている岡田美知代の実の兄だそうです。
衝撃的な内容で、日本の自然主義小説の主柱を形成した「蒲団」ですが、
兄の立場からすると、いい気分にはならない小説ですね。
実際世間へ向ける美知代さんへの視線は冷たかったそうです。
緒言部分です。
本書は第一編と第二編の2部で構成されています。
第一編は英文の組み立てについてかかれています。
1、英文解釈上特に注意すべき事項
2、単語の研究とその記憶法
3、英文の基本的形式
4、英文の要素
5、用語の順序
6、省略
7、強勢
8、句読法
に分けて英文の構造について詳しく解説されています。
第二編では品詞や熟語の順序、構文、語句について詳細に解説し、第一編と合わせて英文解釈の要領を会得できるようになっています。
本文の一部分です。
「~のために」という熟語の使い分けについて解説されています。
岡田氏は緒言で
「単語の研究は斯道研究上最も肝要」
「熟語の知識の必要な事は云うまでもない」
と英文読解に語彙の必要性を説かれています。
大正時代に出版された参考書ですが、現代にも通じるものがあります。
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