本日は、『歴史春秋社 日本史の何故がわかる 総ふりがな なぜなぜ日本史 2004 菊地昌美』を紹介させていただきます。
タイトルの「総ふりがな」で分かるように、本書は全ての漢字がふりがな付です。
中表紙も目次も、著者略歴まで全てふりがなが付されています。
たしかに日本史の用語には、難読なものが少なくありません。
「御霊会」「田荘」「湯起請」などなど、一筋縄ではいかない用語が頻出しますが、
本書のように、あらゆる漢字にふりがなを付した本は珍しいと思います。
これには深い理由がありました。
編者の菊地昌美氏は高校教師になって以来、数々の学校で日本史を教えてきましたが、
長年の教育経験の中で、「当たり前の漢字を読めない生徒が増え」るという問題に直面しました。
学力低下への憂いから作られたプリント群は、
本来の「板書をしないで時間を節約」するという目的を越えて、
誰にでも読める、誰にでも分かる日本史教材として洗練されていったのです。
本書は同氏の退職を機に、それら授業プリントを総まとめしたものということです。
随所に線引きを入れることで、板書を再現できるという配慮がなされています。
この本はまさに菊地氏の教育経験の結晶と言え、「総ふりがな」には切実な願いがこめられていたのでした。
また、菊地氏の著書はほかにも、
本書の番外編として『隠された日本史』、一般書に『邪馬台国は大和国』があります。
番外編は絶版ですが、『邪馬台国は大和国』は2014年に改訂新版が出ました。
どちらも興味をそそられるタイトルですね。
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