本日紹介させていただくのは、1977年出版、
土師政雄先生の「反数学教育論 なぜ数学を学ぶのか」です。
土師政雄先生はすでに何度かこのブログでも取り上げさせて頂きました。
今回は、純粋な参考書というものではありませんが、土師政雄先生の学問に対する考え方や教育に対する意見を知ることのできる貴重な書籍となっています♪
早速内容を見ていきましょう♪
目次をみてもわかるように、問題を解くというよりは数学という学問そのものがテーマとなっています。
「なぜ数学を学ぶか」
数学の勉強に苦しんで、このような疑問を思った人も多いはず。
それに対する土師政雄先生の考えはというと…
「面白いから」
「必要だから」
なんともシンプル過ぎる回答です!
しかしながら
なぜ数学を学ぶか、という問いは、そのような客観的な答ではなく、ひとりひとりの人間にとって、数学を学ぶ意味は何か、を求めているのだ。
とあるように、単純に数学で答えを出し、点数をとって成績序列の基準にするということは目的ではなく、数学を学ぶことによってその人が何を得られるかということこそが大事であると述べています。
現代の教育のあり方に疑問を投げかけながら数学を学ぶ意義について説いており、哲学的な問いも交えられていて読み応えがありそうです。
ご自身のエピソードや大学受験に至るまで、さまざまな側面から数学という学問に対してアプローチしています。
1925年に生まれ、当時の東京大学工学部を卒業された土師先生は、当時ほとんど普及していなかったパソコンを使ったりと柔軟な姿勢を持ち、三大予備校で教鞭を振るう傍ら、旺文社などで参考書をも執筆していました。
数学を専門にしていると聞くとなんだか頭が硬そうなイメージもありますが、実際は受験戦争のためだけに点をとるような教育方法に疑問をなげかけ、学ぶことの本質を大事に考えていたようです。
若者に対しても学問だけにとらわれず熱心に指導していたそうで、学生時代と言うと接先生とのお付き合いはせいぜい長くても3年ほどなるかとは思いますが、それでも受験が終わってもなお多くの教え子に慕われていました。
こちらは、そんな土師政雄先生の考え方がよくわかる一冊となっており、「土師さんを偲ぶ会」において完全復刻されたそうです。
以前ご紹介した栗田稔先生の著作にも数学の本質についてのものがありました。読み比べてみるのも面白いかもしれませんね♪
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