今回紹介させて頂く参考書は、
1974年に青春出版社から発行された『これだけで他を捨てよ! 試験にでる世界史』です。.
山本洋幸先生は東京大学文学部西洋史学科卒業後、
東京教育大学(現・筑波大学)付属高校で教鞭を執り、その後河合塾講師としても活躍。
本書は限られた時間と労力で効率的に習得できる「試験にでるシリーズ」と称し、
「試験にでる日本史」(五十嵐和敏著)
「試験にでる英文法」(森一郎著)
等と同時期に出版されました。
通学時の学習にも便利な文庫本サイズに収められています。
これだけで他を捨てよ!とは中々大胆なタイトルですが、、、
「世界史の学習において大切なのは、
意味の無い細かなワードを丸暗記することではなく、
歴史の縦横の繋がりで関連付けを行い、
重要な事柄について少しでも内容理解をしておくことが大切だ。」
という強い信念による二十数年間の受験指導により、
数千人の生徒を志望校へ合格させていることで見事にその言葉を実証されています。
それでは中を覗いてみましょう。
はしがきには「縦横に切ってつなげ」とあります。
いわゆる丸暗記や語呂合わせは邪道であるとされていて、
「ある国ではAが原因でBが起こった。またそれは隣国のCへと影響を及ぼした。」
といったように発展の様相や因果関係をおさえておくことによって、
はじめて年代や人名が安定した形で頭の中に定着すると述べられています。
前後関係から年代や細かい事柄を連想ゲームのように思い起こしていくという手法。
世界史の学習においても急がば廻れの精神は非常に大切なようです。
・第1章は受験においてキーワードとなる語句を、
他の参考書に見られるような時代やアイウエオ順ではなく、
出題頻度の高いものから取り上げて解説しています。
短時間で重要なものからというコンセプトに基づいた特徴的な配列ですね。
・第2章は筆者が強く主張しているつながりの例を、
縦割、横割の部門に分けてコンパクトに紹介しています。
学校の授業では教科書の編成順でしか学習できないことが多いため、
通史的に理解するために非常に有用なまとめになっています。
・第3章は同名・異名異義の事項について。
世界史が嫌いだという人の中に、同じような名前が出てくるからという人が案外多い。
そういった部分をフォローするような内容です。
・第4章は著者が教育者としての経験から導き出した、
普段の学習方法の効率的なテクニックが紹介されています。
世界史独特の問題形式、勉強法を身につけるためにも、
これから学習を始める場合はこの章からチェックするのがおすすめです。
年表を丸暗記する時間があるのなら、
スポーツでもして有意義に時間を使った方が精神衛生上にも良いという言葉、
非常にユーモラスな表現だなと思いました。
興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、
他を捨てて!山本式学習法で世界の繋がりを学んでみてはいかがでしょうか。
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