日本評論社 数学セミナーリーディングス 増刊 線形代数ベクトルと行列 1974 矢野健太郎

本日紹介するのは知っている人は知っているけれど

知らない人は「そんな雑誌があるの?!」と思ってしまいそうな…

その名も月刊誌「数学セミナー」です。

雑誌と言えば、ファッションやグルメやカメラやインテリアや…そのジャンルのファンの方に向けてさまざまな種類のものがありますが、世の中には数学専門の雑誌まであるのです!

それだけ数学を点をとるための科目の一つではなく、純粋に楽しむ方たちがいるということで…数学で赤点ばかりとっていた文系の人間からすると驚きがありますが、他にも大学受験用の数学専門雑誌として「大学への数学」が有名ですね。

「数学セミナー」は「大学への数学」に比べると、より広範囲の読者を意識しているようです。

毎年4月号では、初学者(大学入試程度)向けの記事も組まれるようですが、

連載当初から続く人気連載コーナー「エレガントな解答をもとむ」のような専門的に数学を楽しむ方向けの記事も多いようです。

2011年8月に本誌が発売されなかったときもWeb上で発表されている。

毎号2問の問題が出題される。問題掲載から3ヵ月後に出題者が用意した解答と読者から寄せられた解答が掲載される。

(ウィキペディアより)

そんな「数学セミナー」から本日取り上げさせて頂くのは

「数学セミナーリーディングス 増刊 線形代数ベクトルと行列」。

1974年に発行、矢野健太郎先生が執筆されています。

表紙がすでに知的な雰囲気です・・・・。さっそく内容をみてみましょう♪

数学専門の雑誌ですが、その数学の中でもさらにピンポイントに「ベクトルと行列」を取り上げた増刊号となっています。

高校までの学校の数学ではいままでほとんどとり扱われていなかったベクトルと行列の話題、線形代数の話題が、今回の文部省学習指導要領の改正にあたって高等学校の段階で取り入れられることになったのは、このベクトルと行列に関する知識が、科学技術方面ばかりでなく、行動科学の方面でも強く要求されるようになったからである。

この冒頭を読む限り、数学と一概に言いましてもその時代時代で主流となる分野は違っているようで、普遍的な学問という印象のある数学という科目にも扱われ方の変化や、他の学問との関わりがあることが伺えますね。

当時、数学の中心的な話題が「微分積分学」などの解析学から、「ベクトルと行列」にも注目が移っていったことが述べられています。

素人には「微分積分」と言われても、なんのことやら…!?状態なので、少し調べましたところ、基本的には面積や体積の計算法で、この方法で砲弾の速度や弾道曲線の計算、大砲の強度計算や、火薬の爆発の計算ができるらしく、そのような武器の歴史と密接な関係があるそうです。

なお、「ベクトル」は空間における大きさと向きを持った量に関連しているそうです。

数学の歴史自体が古代まで遡りますし、さまざまな研究や発展があったことがこの短い文章からわかります。

数学をとりまく時流の話題だけでなく、もちろん実践的な内容も充実しています。

今では数学の分野として馴染みがあり、参考書などでも目にする「ベクトルと行列」雑ですが、当時としては最先端の話題だったようです。

雑誌という定期刊行物だからこど、その時々の注目のトピックがダイレクトに伝わる内容になっているのではないでしょうか。

数学マニアは必見!ですね。

著者の矢野健太郎先生の書籍は以前にも何度かご紹介させて頂いています。

1912年生まれの矢野先生は、その功績から従三位勲二等瑞宝章まで得た日本を代表する数学者であり、高度な数学研究の傍ら、一般への教育普及にも精力的にとりくんでいたそうです。

「数学セミナー」への執筆もその一環と言えるでしょうか。

数学者の方々の経歴は意外と様々ですが、矢野先生はパリ大学に留学をしたり、あのアインシュタインと親交があったりと世界的にアカデミックな場で活躍していらっしゃったようで、そんな先生の深い見識に基づいたこの1冊、かなり読み応えがありそうですね!

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