今回紹介させて頂く参考書は、
1984年に三省堂出版から発行された『大学合格 みてすぐわかる地理』です。
表紙には地形を見てうっとりしている生徒達が描かれています。
思わず目を引くデザインですね。
まずは著者の人物像に触れてみたいと思います。
武井正明先生は中央大学(国際関係論,経済地理学,歴史民俗地理学)卒業後、
東京都立戸山高校教諭として34年間教鞭をとり、日本大学文理学部地理学研究室へ。
代々木ゼミナール専任講師としても活躍し、「よくわかる名講義」で知られる地理の権威のひとりです。
当時は国内販売用の地球儀の監修も行っていたのだとか。
講義内容は点数を取るためのポイントを端的に説明するという形ではなく、
長期の休みには必ず海外に出向き、その国の風土や人々に触れ、
実際に自分の目で見て触れてきた話を中心に伝えていくタイプだったそうです。
地理という科目は暗記科目と認識されがちですが、
地形をはじめ、歴史や経済、文化、気候等から法則を見出すことで、
全く知らない土地でもその法則を照らし合わせ、あれこれと予測する楽しさがあります。
そんな武井正明先生の講義スタイルは色々な世代の人達に、
地理の本当の魅力に気づかせ、影響を与えてきたのだろうなと思いました。
それでは中を覗いてみましょう。
この本は「大学合格 みてすぐわかる」と銘打っているだけあり、
受験用、それも直前の短期間で実力を飛躍的にアップさせることを目的としています。
地理にはまず「基本の完全な理解」が必要ですが、
膨大な事項や統計を目の前にどこから手を付ければ分からない人でも、
短期間で身につけられるように図説に配慮が施されています。
まず第一に基本事項、地図、統計の分野から、
特に優先して押さえておきたい項目を厳選、整理。
第二に基本事項を地図上で「だからこうなる」式で解説しています。
入試に不可欠な地図上での理解、「読図力」の向上を重視した作りとなっています。
この本を読み終える頃には地理のつながり、法則の面白さに魅了され、
見知らぬ国を想像しながらうっとりしているのかもしれませんね。
武井正明先生の実子で、
同じく代々木ゼミナール地理講師の武井明信先生の参考書は以前に紹介させて頂きました。
やはり親子といったところでしょうか、
地理は暗記ではなく理にかなった科目であると述べています。
地理の知識を身につける事は試験目的だけでなく、
旅行をより楽しむきっかけにもなると思います。
武井親子の参考書を手に取って地理の魅力に浸ってみてはいかがでしょうか。
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