こんにちは。
きょうも弊社にてお取り扱いさせていただいている貴重な学習参考書を紹介させていただきます。
お付き合いくださいね!
さて今回ご紹介させていただく参考書は
学習研究社から発行の「有坂誠人の現代文速解 例の方法」です。
「例の方法」なんとも心惹かれるフレーズですよね。
「例のアレ」「知る人ぞ知る」「ここだけの話」……と、もしやとんでもないお得情報が書かれているのでは?! もしくは、いやいやそんな都合のいい話があるわけないよ……、といずれにせよ心をざわめかせる名タイトルです。
著者の有坂誠人先生は1980年代から1990年代に代々木ゼミナールで教鞭をとっていた人気講師です。
こちらの著作の筆者紹介にも
「夏期・冬期講習には徹夜の行列ができるほど」「先生にキャラクターのキノコ坊やのサインをもらった人は絶対に合格するというジンクスまで生まれた」
とあり、大変なスター講師であった当時がしのばれますね。
この本のインパクトのあるところは「勉強」と「お勉強」を区別しているところ。
大学受験の試験科目にあるから仕方なくやる「お勉強」と、自分が興味と熱意を持ち主体的に取り組む「勉強」はまったく違うものであり、「お勉強」は効率よくさっさとすませてしまうに限るという著者の持論は、韜晦しながらも実は根底にある熱いものを感じさせます。
本来はじっくり読書をして、自分の経験や知識を重ねて育んでいくべき「読解力」を、時間制限ありの大学受験生が身につけるにはどうしたらいいか、そのテクニックがふんだんに織り込まれた大変面白い1冊です。
本書の帯にはこうあります。
1.出題者の心理を見破る驚異のテクニック!
2.問題文を読まなくても瞬間的に答えが出る!
3.時間をかけずに点を取る実戦速解法!
本書には、試験問題を出題者と受験生の騙し合い、裏のかきあいと捉えた面白い着眼点がふんだんに掲載されています。
曰く「“暗いイメージ”の選択肢ほどあやしい」
曰く「極端に風情の違う選択肢は正解」
曰く「出題者はうっかりホンネをもらす」などなど……
問題文を載せずに、問と選択肢だけを示して解答法を解説するところなど、受験テクニックの真髄とも言えるでしょう。
ときには邪道と言われかねない本書のテクニックですが、実は冒頭に記載されている「5つの作業・真髄」を心がけるだけでも、自己流で文章を読みがちなクセが矯正されるのでは? と感じました。
実はわたしも、本書を読んで新聞の社説の読解にチャレンジしてみました。
本書でまず掲げられる「5つの作業」とは下記のようになります。
■同語・同義語を○で囲んで結ぶ
■反意語・反意文・縁語を○で囲んで結ぶ
■プラスイメージの言葉に「+」、マイナスイメージの言葉に「-」に記号をつける
■余計な言葉を省いて主語・目的部・述部だけに注目する
■否定語・逆接続語・強調語に印をつける
以上の作業を意識して読んでみたのですが、いつもなら最後まで読む集中力が続かず「だいたいこういうことかな?」程度で終わっていた文章をしっかりと理解することができました。
(逆に言えば、いつもどれだけ雰囲気でわかった気になっていたかということですね、反省……)
本書が出版された80年代と現代の入試問題のモードには変化があるかもしれませんが、考えてみれば現代文とは、「なんとなくわかったような気でいること」を、改めてしっかり理解した上で、「正解」を他者に伝わるように要約する技術だと言えるでしょう。
実は受験だけにとどまらないとても重要な技術なのでは……?
文章に向き合う際に「漫然とムードで読まず、紛らわしいフレーズに惑わされず、作者の意図を的確に見抜く」という、受験テクニックにとどまらない、重要な心がけを学べる面白い読み物となっています。
また今後も貴重な参考書を紹介させていただきます。
次回もお楽しみに!
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