こんにちは。
きょうも弊社にてお取り扱いさせていただいている貴重な学習参考書を紹介させていただきます。
お付き合いくださいね!
さて今回ご紹介させていただく参考書は
三省堂から出版された「構造図解 世界史 改訂版」です。
改訂版の発行が「1974年」、初版の発行に至っては「1970年」という実に半世紀も前に発行された参考書ですが、いま私の手元にある本の奥付を見ると1989年には第20刷まで重ねているロングセラーです。
著者の桐山一隆先生は全国有数の名門公立高校・埼玉県浦和高校で教鞭を取られていた方です。
教え子で後に作家になられた方のインタビューによると、桐山先生は入学式の挨拶で
「特に大きい業績を残す人間もいなければ何かとんでもない事件をしでかす人間もいない。この学校は、よくもつまらない人間ばかり輩出しているもんだ」と喝破されるような気骨のある方だったようです。
また、教え子の方の語る先生像は
「丸暗記で成績を上げる生徒を好まない」「好奇心を持って本をよく読み、自分で考えろと教えていた」とのこと。
はしがきにも
「皆さんにとって参考書とは、教科書に盛られている内容や、先生方の持っておられる知識を理解する媒介的役割を果たすものでなければならないと思います。」とあるとおり、本書は暗記だけを良しとはしない著者の骨太な歴史教育の考えがよく表れた構成となっています。
目次を見れば、世界史上の重要な項目がずらりと列記されています。
「読者のみなさんへ
この本の特色は、歴史の流れそのものを構造化し、図解・表階という表現方法によって“目で学べる参考書”にしたことです」
長大な人類の歴史の流れですが、ポイントを押さえた筆致で構造として捉えることができます。
さまざまな歴史上の出来事が、現代の私達の生活にまで影響を及ぼしている、そんな実感すら覚えます。
「世界史の流れそのものを構造化した学習参考書」
「図表・表階を中心に視覚で学べる便利な新編集」
「現代史の動きも新たに大巾に加筆した改訂版」
半世紀前とはいえ、1970~74年という高度成長期のさなかに描かれた本書の「現代史」はいまだに学ぶべきところが多いのではないのでしょうか。
年号や出来事の丸暗記という「受験対策」にとどまらず、シンプルな図表とあわせて、切れ味鋭い解説の文章を読むことで歴史の構造への理解をうながす構成となっています。
ひとつの項目につき1ページから4ページていどのコンパクトな記述になっており、「人類の出現」からエジプト、ギリシア、インダス、中国などの文明の起源、第二次世界大戦後の世界情勢までが過不足なく把握できるようになっています。
たとえば「キリスト教の成立と発展」なら、キリスト出現以前のローマによる属州民の支配から、キリスト教の国教化までの成り立ちがたった2ページでまとめられています。
フランク王国の成立は1ページ。
分裂も1ページ……。
用語解説や自然科学史、文化史まで網羅しており、広大な歴史学習の世界への一助となる一冊です。
世界史の授業というと、年号や年表を丸暗記して、近現代史までくると駆け足で終わる……マンガや小説で親しんだ時代の授業のときだけやたらと詳しくて点数がいい、そんな学生時代の思い出が蘇りますが、そんな桐山先生にはがっかりされるような学生だった私ですが、パラパラとページをめくるだけで「荘園制って聞いたことあるな」「二月革命ってこういうことだったんだ」と、知的好奇心を刺激する項目が見つかります。
ご紹介のために選んだ一冊ですが、読み込んでいるうちに欲しくなってしまいました……。
写真や派手な色替えすらない文章と構造図だけの参考書ですが、高校生の歴史学習や受験対策にとどまらず、その後も社会人の基礎教養として世界史を学ぶにも最適な一冊ではないでしょうか。
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