本日ご紹介する書籍は
「大学への数学 昭和63年9月臨時増刊号 理系・新作問題演習(第32巻第12号)」です。
「大学への数学」は、高校数学を常に高い視点から捉え、個々の問題の縦横の関連性を自然な発想で解き明かし、読者をより高いレベルへ導くことをメインテーマとして編集されています。
できるだけ多くの問題に対応できる解法が満載で、
有名大学入試にも立ち向かえる実力を養成していく、そんな1冊です。
そうそうたる顔ぶれですね。
安田亨・十河利行・山本矩一郎・福田邦彦・本部千代・佐々木稔
この先生方がついてくれていると思うだけでも、勇気とやる気が沸いてくる、
そんな感じがします。
それではまず、黒木正憲先生が書かれたまえがきをご紹介しましょう。
数学の問題を前にすると、ひとは「記憶型」と「独創型」にわかれるようです。
「独創型」のひとというのは、蓄積された知識をもとに解法をみずからアレンジしていきます。
他人のつくった解法のパターンにはあまり頼りたくないタイプです。一方、「記憶型」のひとは、問題集や参考書の問題や解答が頭にファイルされていて、
問題をながめ、それに類似の問題と解法を記憶からとりだし、それと並行に解答をつくっていくタイプです。
それでは入試に対しては、「記憶型」と「独創型」のどちらが有利なのか…
皆さんも気になりますよね。
しかし、残念ながらその答えはありません。
というのも、入試問題には、記憶型と独創型の問題が入り混じっているからなんです。
仮に、入試問題に過去の問題に類似したものが多かったら、「記憶型」の人には有利になるでしょうが、そればかりは入試当日までわかりません。ではなぜこんな話をされたのか・・・・
さらに、まえがきにはこう書かれています。
様々なジャンルの膨大な問題の中から精選し、厳選し、学習効果の高いもの全120題を掲載しています。
一題、一題、記憶型のひとはときにとまどい、独創型のひとはただひたすら試行錯誤を重ねるかもしれませんが、その学習効果は確実に積み上げられ、記憶型のひとに対しては、価値あるファイルの集積を、独創型のひとに対しては、さらに的確な思考力を提供してくれるでしょう。
なるほど、どの問題も「記憶型」「独創型」のひとそれぞれに、様々な、”あるいみ試練”与えているということでしょうか。「記憶型」のひとと「独創型」のひととでは、ぶち当たる壁の種類は違えど、ひとつひとつ問題を解いていく事で確実に実力が身に付くというわけですね。
それでは、どんな問題が掲載されているのか見ていきましょう。
全192ページからなる本書では、最初の20ページほどに、問題全120題が掲載されており、30ページ目以降には、160ページ余りにわたって解答や解法が惜しみなく掲載されています。
入試には制限時間がある為、なにからどう手をつけていいのやら、という難問は数少ないのですが、入試ではない今、問題を解くために時間制限は無いため、この書には計算をすれば確実にできるといった典型的な問題の掲載はありません。
典型的な問題をすばやく確実に解く訓練も大切ですが、
難しい問題をじっくり時間をかけて考えるという勉強が必要であり重要であるということです。
福田邦彦先生は、本書の利用法でこう述べられています。
ホネのある問題を、ある程度の時間をかけて考えこむ意義というのは、その問題が解けるか解けないか、あるいは、その問題をいかに上手に解くかにあるのではなく、そのたった一題の問題を通して、できるだけ多くの問題に適用できる“筋道の通った考え方”を学ぶということにあります。
あくまでも応用の範囲が広くて、つぶしのきく解法を優先させることにした。
つまり、解いたあとに“なにを残すか”に重点をおいてほしい。
問題を解くのに少し時間がかかっても、一題でふつうの問題を何題分も解いた効果をあげることができるに違いない。
受験生にとって時間はとっても貴重なものです。
闇雲に膨大な問題をひたすらに解き続けるだけでは、いくら時間があっても足りません。
厳選された難問にはしっかり時間をかけて向き合う、それが結果的に実力をつける一番の近道になるということです。
まずはじっくり時間をかけて問題と向き合い、自分なりの解法を見つけ出す。
そして本書の解答と自分の解答や解答を導き出すまでの過程を見比べてみてください。
最初は、自分の解答があまりにもまわりくどくてガッカリするかもしれませんが、
それを繰り返すことで、ゆっくりではありますが、着実に実力が身に付き
“数学”というものがみえてくるでしょう。
黒木先生と福田先生が口を揃えて仰られていること。
それは、
数学を楽しむ事
楽しめたもん勝ち!ということですね。
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