本日、紹介させていただく参考書は「三省堂|新講 数学Ⅰ(改訂版) 赤摂也」になります。
著者は赤摂也さんという方。数学基礎論の権威として知られ立教大学、東京教育大学、放送大学の教授を歴任されました。
赤摂也さんですが、
「まさしく、これからは”数学の時代”である。理科系・文科系をとわず、すべての人が”数学につよくなること”が要求されているのである。」
と予言されていたようです。まさにそんな数学の時代になってますね。
他にも、電子計算機(computer)を「”人工頭脳”という別名をもつ現代の怪物である。」や
「人間は機械と競争してはいけない、人間は機械をつくり、これを利用するのである。」、
「数学の授業では、なるほど計算の訓練をする。しかし、その目的は、実は”計算機がどのようにはたらくか”を理解させることなのである。」
ともおっしゃっています。
人工知能が人間の知能を超える時代に入ろうとする現代を予測していたかのような言葉です。
冒頭で赤摂也さんが数学基礎論の権威だと書きましたが、
調べてみると数学基礎論が計算機科学の基礎と発展、アルゴリズムの研究に大きな影響を与えたとあり、なにやら穏やかでないものを感じます。
こんなことを言っていいのか、テストや入試問題などにも若干否定的な面が見受けられました。
ただ、数学って面白いよ!本当は楽しいんだよ!と全身全霊で訴えかけられているような熱意を感じ、前書きだけで心を鷲掴みにされてしまいました。
赤摂也さんご自身はいわずもがなですが、義父が数学者の吉田洋一さん、義兄が哲学者の吉田夏彦さんという大変著名な方です。
特に吉田洋一さんは数学書のベストセラー「零の発見」(岩波新書)、構成方法がのちの数学書の規範となった「函数論」(岩波全書)等の著者としても知られています。
他にも、ミレニアム懸賞問題の1つ、ポアンカレ予想を提出したアンリ・ポアンカレの「科学と方法」(岩波文庫)等の翻訳も手掛けていらっしゃいます。
赤摂也さんとは「数学序説」(培風館/ちくま学芸文庫)という「素人でも数学を楽しむことができることを説明したい」という熱意で書かれた数学書を一緒に執筆されています。
こちらも興味をそそられますね。
赤摂也師は「計算の理論」という本で「Turing機械」について、理論的な紹介をなさった方です。従って現在の計算機あるいはシステム工学的な理論の基礎的な部分を紹介されたことで有名です。