本日は「旺文社 大学入試 傾向と対策9 基礎解析 1993 長岡亮介/長岡恭史」を紹介させていただきます。
旺文社の「傾向と対策」シリーズは、戦後の学制改革に伴って、
新制の大学が発足した昭和24年(1949)に創刊された受験対策書です。
創刊直後から人気シリーズとなり、「○○の傾向と対策」という用語が、
受験生の間で定着し、他の学習書でも使われるほどの定番用語となりました。
今回ご紹介する書籍はその「傾向と対策」シリーズから、
1993年に発行されたシリーズNo.9「基礎解析」なのですが、
著者は長岡亮介、長岡恭史の共著となっております。
長岡恭史先生といえば、ご存知、東進ハイスクールで活躍中のカリスマ講師。
東大対策講座などのハイクラスの数学を担当しており、一講義で6問進むハイペースな講義(他の数学科講師は3問が標準)で知られていますが、時間ピッタリに講義が終了する敏腕で、本質的な講義をすると東進の中でも人気の講師です。
授業風景動画も合わせて紹介いたします。
そして、長岡亮介先生とは、知る人ぞ知る元駿台の伝説的講師です。
数理哲学に造詣が深く、その深遠な語りに啓蒙された「信者」が後を絶たなかったとか。あの雲幸一郎先生をして「このテキストは長岡師が作ってらっしゃるからこう解くのが目的」なのだと、受験数学界において圧倒的な影響力をもち続けました。
現在は近現代数学史、数理思想史を専門とする数学者として多くの書籍を刊行しており、旺文社大学入試問題正解の「東京大学」を担当するなど、予備校教壇を降りた今なお、カリスマ的な講師として知られています。
長岡亮介先生の講義風景も動画がございますので、こちらも合わせて紹介させていただきます。
さて、話はもどって本書は長岡亮介・長岡恭史の共著ですが、
この二人は兄弟であり、兄亮介と弟恭史という受験数学の双璧が書いた参考書です。
とくに本書の特徴として「著者2人の対話という形式」で、
「受験生としてその問題に立ち向かう際にとるべき姿勢」
「出題者の発想」
「解答のポイント」
「受験生に共通の以外な弱点」
などが語られており、受験生には必見の、そして貴重な記録が綴られています。
さらに痛快とも言えるのが、
「著者達は、<傾向>の分析が受験対策として有効であるとの認識を共有するものではないことをお断りしておきたい」
と、「傾向と対策」シリーズの序文で言い放っていることでしょう。
ここには普遍的な「学問的真理」の探究こそが「本物の実力」であるという、長岡兄弟の矜持が示されています。
本書には刊行当時1993年の二人の紹介がなされています。
長岡亮介先生は、学者兼業としてのスタイルを貫かれており、当時担当していたラジオ講座(ラ講)講師の経歴も記されていますね。(「ラ講」については、以前に紹介記事がありますので、参照ください)
長岡恭史先生の「自称、ハマの黒豹」とは、自らの出生地である横浜になぞらえた二つ名です。柴田恭兵似でルックス面からも人気があったことから、講義を拝聴したいというミーハーな生徒が絶えなかったのですが、そのハイレベルな講義から、毎年最後まで残るのは一握りのエリートだけという逸話は語り草となっています。
数学カリスマ講師の双璧、二人の夢の共著は、是非とも手に入れたい一冊ですね。
なお、長岡亮介先生の著作紹介や映像授業などは、以下の公式サイトから閲覧することが可能です。
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