本日紹介するのは、代々木ゼミナール発行の「あなたはこの成績で合格できる」です。
代々木ゼミナール受講生の方なら馴染みがあるかもしれません。
参考書ではなく、代々木ゼミナールが発行した受験生向けの冊子ですが、近年まで毎年発行されており、当時の入試事情や受験生たちの様子がわかる興味深い内容となっていますのでぜひご覧頂きたいと思います。
表紙のイラストのファッションからも年代を感じます…!
冒頭は、当時の理事長であった高宮行男氏のあいさつから始まります。
高宮氏は講師ではないですが、代々木ゼミナールの創設者として有名ですね。
昭和51年度の入試は教育課程が となったことで、入試においても旧課程と新課程を踏まえた対策が必要であったようです。受験生にとってはなかなか厳しい状況のようでに思いますが、高宮氏は講師ではないものの、的確な対策を提案しており、この一冊が役に立つと述べています。
「課程」というと、学校や参考書などでよく目にしますが、具体的になんのことかというと
学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を子供の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画であり、その編成主体は各学校である。
そうです。
確かに必要なことではありますが、変更となったそのタイミングで入試を受けるとなると大変です。
さらに、このあいさつの中では
この点について、去る5月29日、永井文相あてに<代々木ゼミナールの受験生からのお願い>として、いろいろ提言したなかに、このことについて「指示なさったように出題されるよう、実施監督を強化指導して頂きたい。そして受験生の不安のないように、公表していただきたい」と申し入れたのである。その成果を期待したいのである」
予備校から行政に対して働きかけを行っていることをアピールして、その行動力や影響力の強さを示しているのが印象的ですね。
内容そのものも、かなり充実しています。
今回の一番のテーマである新課程への対策から、定番の「傾向と分析」や大学の特徴、現実的な学費のさまざまな題目を網羅しています。
「50~60点で合格点」という小見出しについてはそんな点数で良いのかと疑問になりますが、本文を読むとなるほど、当時の代々木ゼミナールの模試は簡単に点のとれるような設問でないため、60点とれれば十分!そのへんの模試と一緒に考えるな!ということですね。
常日頃、レベルの高い模試や授業をうけているということで、はじめのあいさつをはじめとして、受講生体験記にあるような「これで落ちたら代々木の名折れですね」という当時の講師のコメントなどをみても、予備校としてのプライドと自信が表れております。
「6か月後に学習効果」
こちらについては筆者も受験時代に学校でよく言われていたことです!昭和50年代から言われていました。
また、語尾をカタカナにするのが当時の流行りだったのでしょうか。文体からも時代を感じます…!
こちらのページではそれぞれのランクに対して、発奮させる前向きな言葉が並びます。
偏差値30~40程度の人は伸びやすく、60以上の人はある程度まで達成しているのそれ以上伸ばすのが苦労するというのは、受験でよく聞くことですね。
偏差値の低い人はそもそも基本の学習が足りていないため、通常の学習をするだけで随分と学力は伸びますが、勉強を頑張った人ほどその後の伸びしろが少ないというのは、受験勉強を続けていく中ではなかなか根気強さや気力がいりますね。
このように、ご覧頂いたのは一部にはなりますが、それだけでも代々木ゼミナールの自信と受験生への熱い指導が伝わります。
当たり前といえば当たり前ですが、受験生への指導のかたわら、「代々木推し」の色合いが目立つのが面白いですね。
時代が変われば学生の気質や扱い方も変化するかと思いますが、他の予備校の受験対策本や、後の年代の「あなたはこの成績で合格できる」がどのよう内容なのかも気になるところです!
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