文英堂 シグマ・ベスト 解明英文法 1973 吉田正俊

さて、9月に突入しました。

今年は、何十年ぶりかの「非常に強い勢力」の台風があったり…自然の猛威に驚くばかりですが、

かつて日本では夏はどのような意味合いを持った季節だったんだろうと想像することがあります。

スイカ、ラムネ、浴衣、夏祭り、風鈴、虫取り、花火、海水浴……

今回、紹介させていただく本が発行された1973年(昭和48年)も、オイルショックがあったり、ノストラダムスの大予言や日本沈没がヒットしたりと、現代を予感させる世相であったようです。(今夏のように酷暑ではなかったとは思いますが…)

文英堂(ぶんえいどう)は、京都市に本社を置く、教科書、参考書、辞典等を発行する出版社です。この本の頃、中学「くわしい」シリーズ、高校「理解しやすい」シリーズを発刊していて、平成になってからは、小学、中学「これでわかる」シリーズを発刊されています。

大学受験に向けて、英語の勉強方法として、

・「英語の勉強の中で、一番はじめに」かつ「受験の1年前から」

・最初に、英文法と英単語の両方に取り組む必要がある

・「文法問題」や「長文読解」「英作文」「和訳」などには、英文法は間違いなく必要になるから

…と、言われています。

上記、はしがきには、英文法は必要で、英会話に限らず、英文解釈や英作文にも役立つと記載があります。英語の勉強の土台になるところが英文法になるということでしょう。

「解明英文法」は、非常によく整理されていて、英文を分解したら、どのようになり、それらの単語がどのように結合していくのか、わかりやすくまとめられています。

英語の勉強方法を検索してみましたら、次のようにありました。

1)インプット… インプットとは、知識を頭に入れることです。「主語の後には動詞が来る」とか「不定詞toのあとは動詞の原形」とかいった文法事項をまずは頭の中に入れないといけません。

2)定着… インプットをしても忘れてしまっては意味がないです。インプットが一通り終わったら、インプットされた知識を頭に「定着」させるために、英文法の問題集を解いていきましょう。

3)アウトプット… 学校の定期テストは戦えるようになった。でもセンターレベルとか、実際に志望校対策をしていくようになると全然解けない……という人は、せっかく知識を身についたのにそれを引き出す力が足りていない証拠。頭の中はタンスみたいになっていて、それぞれ覚えたことを引き出しから出して使う。どこにしまったっけ……ってなっている状態だと思ってください。こういう人は、定着させた知識を問題にあわせてぶつけていく「アウトプット」が必要。そして、文法のゴールは、長文読解や英作文に活かすことだ!!とありました。

「概要」

「解明」

「Question Box」

「POINTS」

「EXERCISE」

コンテンツを分けて違う切り口で、1節ごとに説明されているのも助かります。この見せ方は編集者の力でもあるのでしょうが、基本的には吉田先生の教育方法が優れていたんじゃないかな、と思いました。

大好きになりたいけれど、簡単には向き合えない英語の勉強、それが筆者にとっての英語だったかもしれません。英単語を懸命に覚えようと、悪戦苦闘しているつもりが、いつの間にか自分の無能巻に苛まれてしまう。受験の日まで、セロトニンの分泌量が上がらなかったことを思い出しました。(もっと地味に英文法の勉強から始めるべきだったようです)。

文英堂発行の参考書には「シグマベスト」という名称が冠されているが、シグマとは数学記号(Σ)で「総和」、またBEST(最上)の総和は文英堂の発行する教育書が「学ぶ人々それぞれの最良の内容」で、その総和の象徴と位置づけているということだそうです。

著者の吉田正俊(よしだまさとし)先生は、1913年、東京生まれ。日本の英文学者。1940年東京文理科大学(現東京教育大学)英文科卒(イギリス文学専攻)。福原麟太郎に師事。共立女子大学助教授、教授、1984年定年、名誉教授。

文英堂は、1990年代に、歴史上の人物が歌う「アルプス一万尺」の替え歌をモチーフに「くわしいシリーズ」のCMを行ったことがあるそうですが、検索からは見つけられませんでした。

朝晩は、流石に過ごしやすくなって来ました。

このように、勉強の参考になる本を紹介させていただく中で、

「もう一度、英語を勉強したい」「英会話が出来るエクセレントな大人になりたい」などの妄想と、

もう一度、英語の勉強に取り組みたいと思う気持ちのせめぎ合いに、

この本が決着をつけてくれたらいいなぁ~と思うところです。

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