本日も、当社で発掘できた絶版書籍の中から選りすぐりの良著を紹介させていただきます。
今回、紹介させていただく1冊は、1984年発行となり少し古いですが、現代でもシリーズが続くチャート式シリーズです。
『数研出版 チャート式シリーズ 基礎と研究 新英語』 清水周裕
こちらの書籍ですが、
受験を経験された方は『数研出版のチャート式シリーズ』と聞けば、知らない人はいないのではないでしょうか。それぐらいの超がつくくらいの有名なシリーズです。こちらの『基礎と研究 新英語』は、初版が昭和53年にチャート式シリーズの参考書として発行され、その後昭和59年に改訂新版として幾度も重刷されています。初版については30刷されるほどの人気参考書です。
あまりにもロングセラーのチャート式シリーズですので、歴史は長く、元々は星野華水が著した「チャート式 幾何学」「チャート式 代数学」の初版が昭和4年に発行されて以来、累計1744万部が発行されたとされています。チャート(chart)を単純に和訳すつと「海図」「水路図」という意味になりますが、この参考書は問題を解くときに、この参考書が船における海図のような役割を果たすものでありたいという願いから名付けられております。
先に、著者の清水周裕(しみずしゅうゆう)先生についてふれさせていただきますと、
数研出版から『基礎と研究チャート式シリーズ 現代英文法(1996年)』と『基礎と研究チャート式シリーズ 新英語(1984年)』という著書が発行されているので、予備校の英語の先生だなと思っていたのですが、参考書の著書は僅かこの2冊のみなのです。
こちらの著書は大変貴重な2冊の書籍となります。実は清水周裕先生は『汽車のえほん』の訳者をされております。有名な絵本に『機関車トーマスシリーズ』があります。昭和9年高知県に生まれ。慶應義塾大学名誉教授・元オックスフォード大学講師・元アルスター大学客員教授と大学で教壇に立たれておりました。そもそも絵本との出会いは、オックスフォード時代に本屋の店先で購入した絵本が、のどかな英国の田園を背景にそれぞれ個性をもった機関車が次々に登場する物語で、幼かった息子さんの愛読書となり、清水周裕先生自身も大変楽しい読物となったということです。そして、ぜひ日本の子供達にも 紹介したいと思い立った次第だとされています。
それでは、本書を見ていきたと思います。
各章で数節に分けて説明されており、各節で例題と練習問題を交え、解りやすい構成です。
各章の最後の節では章末問題があり、勉強した部分を章毎に復習出来るようになっております。
清水周裕先生からのアドバイスとして
語学学習、特に文法の学習はまことに単調である。機械の組み立てや料理の勉強などの場合は、努力した結果がすぐ形になって現れるので張り合いがあるが、文法学習の場合はそうはいかない。たゆまぬ努力が必要である。
- ただ漠然と英語を勉強するのではなく、きちんと系統立った英語の勉強しなければならない。
- 英語の力を更に身につけていくことが出来るか、あるいは挫折するのかをはっきり自覚する。
- 高校に入って一層高度な英語を習得するためには、まずその文法を習得することが不可欠である。
などの良きアドバイスが色々と書かれておりますので、参考にしていただきたいと思います。
私も学生のときはそうでしたが、大学受験にあたり英語を用いる機会が少ない環境の中で、しかも僅か数年の期間にかなり高度な学習をしなければならないことになります。小さい時から親しんでいる日本語と同じようにはいかないのは当然ですが、英語を読み・書き・話す訓練と並行して、その骨組みである文法を出来る限り早い段階で系統立てて学習し英語学習に溶け込ますことが大切だと思います。
学習を進める上で、章の順序は高校での文法学習の順序と思われるものになっておりますが、特に順序通りに進める必要もなく、どの章からも進めることが出来るように構成されております。
例えば「動詞の時制」や「助動詞」など、動詞に関する学習を先にすすめ、「名詞」や「代名詞」などを後回しにするなど、時々の状況に応じて学習していただけるようになっているので、使いやすいのではないでしょうか。
例文にはできるだけ平易で覚えやすいものが選ばれており、文章の理解に苦しむ例文や長文は避けられております。また、挿絵によりより理解しやすい構成ですね。
《NOTE》部分も重要な部分です。
この部分は1回目に学習する際は、流す程度で大丈夫ですが、将来的には現在の知識に多面性・柔軟性を付け加える上で重要な要素と思います。
今回の《NOTE》部分では 『So I hear』についてのアクセントの違いによる意味の違いについて触れております。
そういえば、「柿」と「牡蠣」もアクセント違いで全く違う食べ物ですよね。日本語も意外と難しいです。(関係のない話ですいません。)
どの参考書もそうですが、読んでいるだけでは全く身に付きません。本書では例題や練習問題にかなりのページが割かれています。より実践に近い内容で解答と解説も記載されております。各問題に指針が設けられており、再度、参考番号の箇所を学習することにより、より学力アップに繋がり効果が上がりそうだと感じます。
本書を利用された方のコメントがありましたので、少し紹介させていただきます。
この参考書に出会ったのは,初版の刊行からまだそれほど時間が経っていない大学受験生のときでした。その当時は,書店店頭で売られるハードカバーの装丁のものとは別に,学校採用の”廉価版”というのがあって,(中略)そして受験が終わった後も,それこそ”座右の銘”みたいにしてこの参考書を愛用していたものでした。しかし,そこが”廉価版”の哀しさというべきか,廉価版の寿命は短くて,キープしていた全てが使用に堪えない状態に変容するまでに,大して時間は掛かりませんでした。それが,1990年代のかなり遅くに”リメーク版”が書店の店頭に並んだのを見たときには,あらためてこの本の”偉大さ”みたいなものを知らされた気がしたものでした。と同時に,近々そのリメーク版を購入したいとも思っていたのでしたが,多忙のどさくさに紛れているうちに,リメーク版もいつの間にか店頭から姿を消していました。参考書を薦める瞬間があれば,わたしは迷うことなくこれを薦めます。不朽の偉大な参考書だと思います。同時に,重版でもいいから,また再びこれが店頭に並ぶことを切に希求せずにはいられません。
一昔前、よく高校の指定参考書にもなった基本的な文法書である。説明も懇切丁寧であり、学習者が間違えやすいようなところは、図式化して容易に理解できるようになっている。お勧めである。
コメントを見ておりますと、時代は変わってもよい参考書は今でも人気があるのだなと改めて思いました。
以前のブログでも数研出版の参考書を紹介させていただいておりますので、是非参考にしていただければと思います。
今回は清水周裕先生の『数研出版 チャート式シリーズ 基礎と研究 新英語』を紹介させていただきましたが、これからも当社で発掘できた選りすぐりの良著を紹介していきたいと思います。
次回更新もどうぞお楽しみに!
『基礎と研究チャート式シリーズ 現代英文法(1996年)』を2022年9月に手に入れて今、熟読中です。
小テストもふんだんにあり、手堅い作りという印象です。
特に巻末のものはお得なものです。
各章を読んでから旺文社の基礎英文法問題精講(中原氏の旧版で塾またの先生に勧められた)で確認し、間違いをチェックして再度、『基礎と研究チャート式シリーズ 現代英文法(1996年)』を読むという過程を続けて、3周し英作文もできるようになっています。
関の本よりよほど良心的な本といえましょう。
いい紹介でした。これからも頑張って紹介してください。