SEG 難関小論文 ベストセレクション 2001入試問題10講 山西博之

本日は、『難関小論文 ベストセレクション 2001入試問題10講 山西博之』をご紹介させていただきます。

cimg1865_r

SEG出版といえば、当ブログでも過去に『数学闘う50題』『数学思考回路100講』など、優れた問題集を紹介してきました。

SEG出版 入試数学闘う50題 小島敏久 米谷達也

SEG出版 大学入試数学思考回路100講・3 1993 米谷達也

また、前回は光田義先生がSEG在籍時に執筆された『SEG数学シリーズ11 微積分講義』を紹介させていただきました。

SEG出版 SEG数学シリーズ11 微積分講義 1994 光田義


数学の訓練では解法のレパートリーを揃えることが目指されますが、小論文のコツとは一体何でしょうか。

「ウルゲン」で有名な著者の山西博之氏(河合塾講師)は「まえがき」で、次のように述べています。

cimg1867_r

「「小論文」にも賢く強い「全人格的なキミ」が求められている。……諸君に必要なことは、広範かつ深慮なる「教養」を身につけ、それを他人に納得させうる、文章「スタイル」を創造することだ。もっとコミュニケーションするために」

ここでは「他人に納得させうる」文章、論理の説得性を求めています。
それは同時に、独善的な文章が点数につながらないことを意味しています。
そして、この金言は近年の入試問題の傾向に関する話題と、巧みに繋がっているのです。

「2001年度の小論文入試には明らかに一つの大きなうねりがあった。……それは文化相対主義と自文化中心主義の対立に関する問題である」


cimg1869_r

目次を見れば「日本は「単一民族国家」か?」や「自己と他者」など、自明視されてきた問題に対して相対化を試みる設問が多いようです。
グローバリズムの展開の中で迎えた、21世紀の始まりに相応しいラインナップと言えるでしょう。
そして、「一つの大きなうねり」を指摘した山西氏は、さらに深刻な問題を提示していきます。

「それは世界のすべてを形づくってきた(と思い込まれている)西欧キリスト教的価値観と、常に後進的(つまり野蛮なるもの)と蔑まれてきた非キリスト教的価値観の、より具体的に述べるなら、イスラム教的価値観との激しい対立の顕在化なのである」

 

300px-womenofalgiers

そう、本書が刊行された2001年、21世紀は、あの「9.11」から始まったのでした。
私たちは、サイード『オリエンタリズム(1978)』、ハンチントン『文明の衝突(1996)』など、20世紀に提示された諸問題がまさに顕在化する現場に立ち会っています。
山西氏の「まえがき」とは、そんな閉塞の中の21世紀を生き抜く、独善的でない開かれた知の可能性を求めるものだったのです。

 

このように小論文の参考書は、当時の世相を如実に表します。
入手は困難ですが、見かけたら揃えてみたい参考書ですね。

関連記事

  1. ライオン社 だれでも解ける現代文の公式12 武石彰夫著書 1993年発行

  2. 美誠社 日本語から英語へ 高校生の演習英作文 高梨健吉

  3. オッサンワールド出版 青春の高校数学② 数Ⅱ-数B 2007 方手雅塚

  4. 大学入試 1問1答 英文法初級問題集 ’91 山田弘

  5. 東洋館出版 魅せる化学の実験授業 高等学校「化学基礎」編 岩田久道/後藤顕一編著 2011年発行

  6. 駿台文庫 大学へのスーパー物理 現代の物理学ー力学編ー 坂間勇

  7. KTC中央出版 英文法完ペキ証明 1997 石井聡

  8. 駿台政経科 政治・経済資料集 1987

  9. リック出版 タイの尻尾よりゴキブリの頭 1985 初台総合研究所+酒井狂平

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

サイト紹介

絶版参考書博物館

主に大学受験の参考書や問題集、教材で絶版となった書籍を紹介しています。王道からマニアックな参考書まで毎週、著者や内容、時代背景とともに紹介します。

カテゴリー

カレンダー

2016年12月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 

月別アーカイブ

運営サイト紹介

PAGE TOP