本日ご紹介する著書は『問題解法 幾何学辞典 笹部貞市郎 聖文社 第二版』です。
幾何学辞典…初めにこのタイトルを見たときは数学が辞典に…?と不思議に思いました。
著者である笹部先生は自身が勉強する為の適格な著書が無い事に不便を感じ、その思いを同じくする方々と難解な問題にぶつかった場合に検索すべき恰当な辞書を、大正14年という昔に作ろうと思ったのです。
ですが、はしがきにも書かれている通り、『幾何学』とは多種多様であり、需要と出版等の経費を考えると大変難しい部分もあったようで…絶望の状態であった…とまで書かれています。
そんな苦難を乗り越えて出版され、未だに支持を得ている事はとても素晴らしいと思います。
幾何学とは、図形や空間の性質について研究する数学の分野です。
図形や空間については日常的に使っていますが、それを数学的に考えるのが幾何学。
幾何学模様はよく聞きますし、無自覚なままかなりの頻度で目にしていると思います。むしろ目にしない日はないと思います。それ位身近です。
三角形や四角形等の多角形や円、楕円、直線などの単純な図形を部品として、様々な操作を加えながら連続して組み合わせ配列を展開してつくった模様。
基本は単純な形なのに、デザインとして無限の可能性のあります。
縁起物である和柄の七宝紋様も円を重ねたシンプルな幾何学模様ですね。
数学の観点では無いかもしれませんが、幾何学模様は綺麗だと思います。
さて、話がだいぶそれてしまったので本書の内容紹介に戻りますね。
最初に幾何学についての説明から入り、
身近である事を伝えた上で数学としての問題や解答等が掲載されています。
問いに対する解説や、図による説明もあるので分かりやすいと思います。
提示された図だけ見ると分からない事でも、その図に対角線等や、同径の円を足す事で分かったり計算できたりする事もあります。
また本書には幾何学小史ページも掲載されています。
かの有名なナポレオンがセント・ヘレナ島に流されたが故にその職を奪われ、幾何学に関する講義をする事ができなくなった数学者が居る事等、歴史に翻弄された数学について書かれていたり…ナポレオンが流刑にならなければ、フランスの幾何学はもっと進展したのだろうか…と、とても興味深いです。
授業で覚える単体の歴史より、そういった逸話がある方が覚えやすかったりしませんか?
それが全く違う学問も関わってくると、感慨深いものがありますね。
本書の初版が発行されたのは昭和31年、その後20年経て改訂されて第2版が昭和51年に発行されています。
本書は第2版になりますが、何十年たっても支持されている本書は間違いなく良本とよべるのではないでしょうか?
こちらのサイトで紹介している本は良本でありますが、中々手にする機会が少ないのが難点。
機会があればぜひ手に取って読んでいただければと思います。
それでは次回の更新をお楽しみに♪
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