本日は『南雲堂 RC方式記憶マシン とびダス英単熟語 1988 手嶋利昻』を紹介させていただきます。
「RC方式」とは一体なんだろう、と興味をそそられるタイトルですが、
この「RC」とは著者によると「Reversal Compounds(反転結合語句)」の略で、
日本語と英語を組み合わせた独自の文章構成のことを指しています。
本書の使用方法に記された実例を見ながら考えてみましょう。
ここでは「Don’t動く」と「MOVEくな。」という二つの言葉が出てきます。
これら二つの言葉は、どちらも「英語+日本語」で構成され、同じ意味をもちます。
つまり、「Don’t move」と「動くな」を「Reversal Compounds」で表現しているわけです。
本書は、この二つのRCを往還することで、英語の理解を目指しているようです。
さて、こちらは「受験生をdeceiveく」と「を欺く the examinees」です。
各単語の下に付された「e」や「あ」などの一文字が、RCの連想を後押しします。
本書はこのように、パズル感覚で英語を覚えることが目指されており、
まさに「とびダス」ように英語が覚えられるというのです。
どうでしょう。
日本語能力を前提として出発する本書は、日本語の連想の中で英単語に触れるため、
本書で紹介された英単語は、ある程度の紐付けができるかもしれません。
しかし、こうした文法を超越した記憶法は、応用面で不安があることは否めません。また、英語を英語の論理から理解する語学の基本ラインからも大きく離れています。かなり好みの分かれる、人を選ぶ参考書と言ってよいでしょう。
著者の手嶋利昻氏は略歴によれば「RC語学研究所」の主宰とありますが、現在の動向は全く不明です。いつの時代も、英語を効率よく覚えたいという思いは皆同じなのでしょう。本書は数ある英語教材のきらめきの一つとして、その足跡を今に伝えています。
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