今回紹介させて頂く参考書は、
1998年東進ハイスクール夏季講習のテキスト『分野別 会話・口語表現の対策』です。
まずは著者の人物像に触れてみたいと思います。
永田達三先生は東京外国語大学出身で、在学中にロンドンへの留学経験があります。
実は語学留学というよりは放浪旅行といった内容だったそうですが、
現在の先生の教育理論は、その時現地で知り合った方から、
生の英語を学んだ影響が大きかったと語っています。
予備校講師デビュー後も、
受験英語界では定番となっていた形式的な構文主義を批判したり、
チロリロリン・パンパカパンをはじめとした自作用語を乱発する等、
一癖ある、型にはまらないキャラクターだったようです。
それでも確立された独自の方法論は評判が素晴らしく、
「講義に慣れるまで時折辟易してしまうこともあったが、
改めて思うとちゃんと自分の中に息づいている、価値観が変わった。」
といった根強いファンが今も多数おられます。
「君たちの合格報告に関しては私は全く興味がない。
なぜなら私の授業に最後までついてきた人間は、
必ず受かるという絶対的な自信があるからだ。
それよりも大学に入ってからの君たちの人生の方に興味がある。」
しばらく病気のため現役を退いていらっしゃいましたが、
2020年度より早稲田予備校に出講されています。オンライン講座も開催中です。
それでは中を覗いてみましょう。
本テキストは入試で増加傾向にある会話文や口語表現の実践的な学力を養成しながら、
併せて幅広い読解力や表現力の向上を目的としています。
まず会話・口語表現問題のタイプは大きく3つに分類することができ、
①文法や熟語の知識をストレートに問うタイプの問題
口語的なイディオムや会話の決まり文句等をたずねるもの。
②最も自然な表現を選ぶタイプの問題
ある表現が文法的には正しくても、その場面に最もふさわしい表現は別にあるケース。
単なる丸暗記よりも深い知識、対応力が問われるもの。
③会話の状況や文脈をとらえる力を問うタイプの問題
センター、共通テストの会話文問題がこのタイプ。
特殊な知識を要求しているわけではなく、
発言を正しい順序に並び替えたり、会話文の内容把握に関して尋ねたりするもの。
このような出題傾向をふまえ、
本テキストでは各々の対策として以下の点に主眼を置いています。
①への対策→ 慣用句の知識の量を増やす。
各講で短答式の問題を通じて決まり文句を数多くとりあげると共に、
巻末にも出題頻度が高い重要会話表現のまとめを掲載。
さらにテキスト中の重要表現の索引もつけているので暗記に活用できる。
②への対策→ TPOに応じた自然な表現を身につける。
慣れが必要なので、状況に応じた答えを選ぶ問題が多く取り入れている。
入試でも盲点になりやすい部分で注意が必要としている。
③への対策→ 会話文を使った融合問題(読解・作文)に対処するための実践力を養う。
第一講から徐々に長い会話文を取り上げ、自然と長文に対応できる力を身に着けていく。
単語の知識だけでなく、会話文の読解力や表現力を鍛える。
また各講の先頭には学習のポイントが掲載されているので、
効率的に勉強に取り組むための道しるべとして非常に有用です。
永田達三先生は今回紹介した予備校講座だけでなく、
東進ブックスをはじめ、多数の出版社から英語対策の単行本を出版されています。
一冊手に取って、英語の神髄に迫ってみてはいかがでしょうか。
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