本日は『教学研究社 昭和29年度入試模擬テスト 公私中学入試 算数予想問題集 1954』を紹介させていただきます。
たいへん珍しい、60年以上前の中学入試の算数問題集です。
1954年(昭和29)といえば、サンフランシスコ講和条約により、連合国軍による日本占領が終わってから間もなくのことで、「自衛隊」が発足する年でありました。
教育の方面では、1947年(昭和22)の教育基本法により、小学校6年、中学校3年という現行の義務教育期間が定められています。
本書もその教育課程に則っていますね。
それでは中身を見てみましょう。
60年前は一体どんな問題が想定されていたのでしょうか。
「貫」、「間」、「石」など、今では使う人の少ない単位が出ていますね。
映画館の入場料が120円というのも、当時の相場がわかって面白いです。
タイムカプセルを開けたような世界が広がっていますが、時代は違えど算数の原理が不変であることを教えてくれます。
さて、発行元である「教学研究社」は1947年(昭和22)設立の出版社で、関西を中心に参考書の大手出版社として知られてきました。
残念ながら、少子化の影響をうけて2012年(平成24)に破産手続となりましたが、近年のものでは『中学入試 力の5000題 算数(2003)』が、和田秀樹氏推薦の名著として知られています。
こちらはまだ、現在でも手ごろな価格で入手できるようです。
丁寧な作りと評判の教学研究社本。
それは戦後の教育改革とともに出発し、受験生によりそい続けた確かなノウハウのもとに築かれていたのでした。
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