本日は「新塔社 現代文読解の根底 1989」を紹介させていただきます。
- 単行本: 164ページ
- 出版社: 新塔社 (1989/05)
- 言語: 日本語
- ISBN-13: 9784880203102
- 発売日: 1989/05
〈アマゾンの商品紹介ページ掲載内容〉
「ことばの美しさとは何か。日本語を読むとはどういうことか。日本人にとって近代とは何だったのか。本書では、読解の実践的なテクニックとならび、日本近代文学が向き合わざるをえなかったこうした問いにまで、作品を引きつつ考察をくりひろげる。巻末には、現代文の読解に不可欠な概念を解説した便利な用語集つき」
のちにちくま学芸文庫版としても再販されています。
著者である「高田瑞穂」先生は、1910(明治43)〜1987(昭和62)年。静岡県生まれ。1954年に創設された成城大学文芸学部教授に就任。その後、成城大学名誉教授。近代文学研究の第一世代として活躍し、現代文のパイオニアとも呼ばれているようです。
著書は、16冊遺されておられます。
特に3冊目に刊行された「新釈 現代文」は
1959年に刊行されて以来、20年以上の長きに渡り定番であり続けた伝説の大学受験国語参考書と言われています。
現代文を読み解くにあたって大切な「たったひとつのこと」が書かれているそうです。
その「たったひとつのこと」が読み解けないという嘆きの書評をいくつか目にしました。
まだ使われていましたか。私は30年位以上前に何度も読みました。たった一つのことが結局わかりませんでしたが、国語の成績はいつのまにか急上昇しました。それも、現代国語だけではなく古文や漢文も。
東大受験生が多い〇会の推薦図書になっていました
(ちくま文庫:この本を読んだ!より引用)
「たったひとつのこと」が気になりますよね(笑)しかし絶版参考書を紹介という趣旨ですので1959年刊行版の入荷を待ち、その機会に紹介させていただきたいと思います。画像にリンクも入れさせていただきましたが、2009年にちくま学芸文庫として復刻されておりますので、新釈 現代文が当ブログでの紹介が待てないという方へは購入をオススメします。
さて、現在当社に在庫する今著「現代文読解の根底」の紹介へ戻りたいと思います。
発行されたのは、高田先生の著書のなかでも13冊目にあたります。前述の新釈 現代文と今著 現代文の読解の2タイトルがちくま学芸文庫から再販されているあたりからも関連性が伺えます。それでは、いよいよ第一章の画像から紹介してまいります。
第一章の冒頭に「新約聖書」の「ヨハネによる福音書」の一部が掲載されています。
初めにことばがあった。ことばは神と共にあった。ことばは神であった…
ことばには命があった。そしてこの命は人の光であった。
等と書かれており、聖書の中においても「ことば」の重みを感じます。
それ程「ことば」に重点を置いている著書です。高田先生の「ことば」に対する思いがとても伝わってきますね。
現代文という学生が必要な学問としてだけでなく、社会人の教養として読んでみるのもいいかもしれません。
所謂「若者言葉」のように崩したり、略したり…従来の意味と異なる使い方であったり…と言葉は時代や環境によって容易く変化します。
だからこそ、基本となる現代文をしっかり学ぶ事でことばの重みや美しさを知る事ができるのではないでしょうか?
私も子供の頃は母に良く言葉遣いを訂正されたものです。
(乱暴だったり雑な話し方が楽だったので…)
丁寧語、尊敬語、謙譲語…言葉遣いも色々ありますが、身近な現代文をしっか学べれば言葉に対する意識も変わってくると思います。
小著「新釈 現代文」との読解によって現代文解釈の道は、ほぼ確立されるとありますね。そして、意識的に繰り返し言いたいことが記されていると。
前述の「たったひとつのこと」
論の展開を正確に「追跡」して論旨を把握すること。
が今著においても探し出すことができかもしれません。
発行年代が現代により近い分、身近で内容も入ってきやすいと思いますので、ぜひ実際にお手に取って、読んでみてはいかがでしょうか?
日本人として私達が普段使用する言語は当然「日本語」です。
日本語と一口にいっても方言や外来語が混ざっていますが、基本的に使用しているのは「現代語」ですよね。
大辞林の解説によると現代文とは
① 現代語で書かれた文。現代の話し言葉に基づき、できるだけそれに近い文体で書かれた文。口語文。
② 明治以後に書かれた文章。口語文も文語文も含む。
つまり、日常使用している文は現代文という事ですね。
古典や古文よりは当然馴染み深いですが、その分軽く扱われる感じを受けます。
第四章 ことばの美しさ
第五章 詩的精神
第六章 古い芸術感と新しい芸術感
特にこの部分を読み込む程に現代文の奥深さを感じ取る事ができるのではないでしょうか?
最後に本書に触れられた方を含めてもっともっと広く現代文に興味を持っていただける一助となれれば光栄です。
次回、更新もお楽しみに!
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