本日も、当社で発掘できた絶版参考書の中から選りすぐりの良著を紹介させていただきます。
本日、紹介いたしますのは!
「合格王のだれでもできる数学解答術 基礎解析編 (東進ブックス) 1994/安本 肇 (著)」です。
- 単行本: 221ページ
- 出版社: ナガセ (1994/04)
- 言語: 日本語
- ISBN-10: 4931256775
- 発売日: 1994/04
著者は、安本肇先生です。
合格王と書かれた赤いマントが印象的ですね。
理系も悩む難問を文系の人がスラスラと、しかも短時間で解いてしまう「ミラクル数学」を謳い文句に大々的に宣伝を行い、生徒を集め、華々しい東進講師としてのデビューを飾られたそうです。この写真もパンフに使われたりしていたようで、「ミラクル数学」への興味とこのマントのビジュアルインパクトで講義はかなり人気を博し、満員を達成したようです。
・・・しかし。講義の内容は、生徒の期待に応えれたものでは無かったようで、1学期には満員だった教室も、秋には空きが目立つようになり、翌年にはコマ数を減らされ、翌々年には、契約が更新されなかったという情報を目にしました。
ミラクル数学は、わかりにくいという苦情が多かったようです。
あまり名前が知られていないのは、講師としての活躍期間の短さによるものだったのですね。
裏表紙のプロフィールを見ると、確かにかなり興味を惹く内容ですね。
近い内容で、実際の受講者の方が紹介されているプロフのまとめを紹介いたします。
高校では赤点連発の落ちこぼれで勉強では苦労されたようです。
それでも猛勉強の末、学年450人中170番くらいまで席次アップ。
その勢いで、教師から無理と言われた広島大数学科を現役突破するも不正入試の 該当者の嫌疑をかけられるという災難に遭われました。入学後、東大目指し仮面浪人態勢に入ります。再受験2年目には上京し昼間働きながら受験勉強を試みましたが、働きながらでは厳しいと痛感されたそうです。大学紛争のとばっちりで東大入試が中止のため名工大に入り、卒業後
セールスマンに。2年で自主退職。田無市にて、こひばり学習塾という
自営の塾を開業しました。ちょうどその頃、応用数学を独学でも容易に
習得可能な体系を編み出そうと決心されました。後のミラクル数学の原型です。2年後の昭和55年、念願の東大に合格を果たされました。
(東進ハイスクール掲示板 MILK CAFEより引用)
かなり安本先生の人物像に興味がわきました。それと探求した結果の「ミラクル数学」内容が大いに知りたくなりました。
では、いよいよまえがきのところで安本先生自身が語る超高速解法「ミラクル数学」に進みましょう!
合格王からのアドバイス
数学で奇跡を起こせ!
赤い線の書き込みが気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、これはこの当時の東進ブックスの編集方針の特徴で講義の雰囲気で実感できることを目的にした「実況放送シリーズ」というものなのです。これからも度々登場してまいります。
ミラクル解法は、受験生にものすごーく役立つテクニックとありますね。
ここは、受験生の非能率的で無味乾燥の学習に直面し、正しい受験方法を模索するために再受験し、東大・京大の合格をなし得た方だからこその言葉だと思います。
どんな問題にも対応できる体系を作れ!
短時間でマスターしろ
数学の基礎解析400時間かかるところを、100~80時間でできる合理性って
す、すごい!
倍速解答術を身に着けろ!
さて期待値が高まったところで、
それではいよいよ本題へ突入です!
比較して表記されているので、ひと目で短縮されているのは伝わってきますね。
以上、画像にて触りというか、一部分を紹介させていただきました。
ミラクル解法・ミラクル数学とはどういったものなのか?
という疑問を解説されている書評を発見しましたので紹介いたします。
ミラクル数学とは大学数学の範囲(?)の知識を援用して一定パターンで解ける問題を増やすという、つるかめ算や流水算や通過算などの中学受験算数で方程式を使うようなものだ。偏差値55以下の初学者がいきなりこう習うと両極端な反応を起こしそうで、実際、東進では悪い方に出てしまったのだろう。しかし、複素数範囲のド・モアブルの定理から三角関数の加法定理を導出したり、放物線の接線問題を一般化するためにテイラー展開を用いたりと文系数学の範囲を一通り習った人間がおさらいで読むと色々と発見がある。
(浪人大学付属参考書博物館より引用)
前述しましたが、活躍期間の短さから知名度が低いかもしれませんし、マント姿からは色物として斜めから見てしまうかもしれません。
しかし、当時の生徒の方々がこういう書き込みをされています。
ミラクル数学はむちゃくちゃすごいです。ほんとにはやい!それに裏技
っていうか数学の本質を実はかなり射抜いています。テイラー展開とか
、ベータ積分とか線形代数の概念とか非常にすばらしいです。
どんどん授業に出なくなる生徒が多い中、1回質問したら顔を覚えてもらったので、悪いと思って授業に参加し続けました。
その後1年の間に数学は偏差値70以上に上がり無事志望校にも合格しました。もうアレから十数年たちましたが本当にお世話になりました!
同窓会がある度に、予備校時代を思い出して、あの時先生を信じてよかったと思っています。(東進ハイスクール掲示板 MILK CAFEより引用)
わかりにくいと言われていた初期からも改良を重ねておられたようです。数学初心者が数学を好きになるキッカケになったという書評や、実際に学力が向上したという結果につながったいたご意見も多く目にしました。改善がさらに進み、内容が充実してからであれば、もっと評価が違っていたのかもしれません。熟成ということが大切だったのかもしれないとも感じました。
しかし、こうやって書籍になっていると振り返ることができますね。
文系の大学数学を一通り学んだ後に読むと発見が多く「合格王」と言われていたことは伊達では無かったと言われていること。
感じることができました。
坂本龍名での著書もあり、更にわかりやすくなっているようです。
今回もまた新たな発見がありました。
これからも読者の皆様へ隠れた良著も紹介していきたいと思います。
次回更新もどうぞお楽しみに!
沖縄タイムズに安本肇先生の記事が出ていましたね。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/609175