旺文社 これでたりる数Ⅰ・ⅡB 受験数学34の原則 渡辺次男 1975年発行

本日も、当社で発掘できた絶版書籍の中から選りすぐりの良著を紹介させていただきます。

今回、紹介させていただく1冊は、1975年発行の非常に古い書籍となり、ナベツグ先生の即戦力を期待した注目の1冊です。
この年代の書籍になりますと、色褪せや汚れは必ずありますが、現在でも十分通用する参考書です。

大学入試速戦ブックシリーズ
『旺文社 これでたりる数Ⅰ・ⅡB 受験数学34の原則 渡辺次男 1975年発行』

こちらの参考書は、当時、大学入試速戦ブックシリーズとして発売された中の1冊となり、シリーズ内に
「受験英語20の急所 金口儀明著」や「速読速解受験古文36 雨海博洋著」などの有名な参考書もありますが
その中でも 渡辺次男先生の意欲作がこちらとなります。

過去にも下記のような渡辺次男先生の参考書は紹介させていただいておりますが、渡辺次男先生といえば数学というイメージだったのですが、
「物理」の参考書も出版されています。

旺文社 なべつぐのあすなろ数学Ⅰ 1987 渡辺次男

旺文社 なべつぐのひける物理Ⅰ 1979 初版 渡辺次男

そして、渡辺次男先生の経歴を過去にも紹介させていただいておりますが、補足も含め紹介させていただきます。


1916年秋田県生まれ
東京物理学校(現東京理科大学)数学科卒業 (当時は非常に難関校でした)
卒業後は研究所に勤務しておられましたが、戦況により数年の軍隊をへて大学や予備校の講師を務められました。
40年間で、東京理科大、明星大学、代々木学院、新宿セミナーなどで多数の生徒に親しまれております。
また、大学受験ラジオ講座で講師もされておられました。
写真は、新宿セミナー時代のお写真となります。
引退後はフィリピンで生活されているとの話しです。残念ながら、お亡くなりなっております。

著書には、「解法すいすい理解シリーズ」「なべつぐのあすなろ数学シリーズ」「入試ライブBOOKS」など多数の書著かあります。


今回は、そんな著書の中から
「旺文社 これでたりる数Ⅰ・ⅡB 受験数学34の原則 」
を紹介させていただきます。

それでは、本書を目次から見ていきたいと思います。

MOKUJI (目次)

MOKUJI (目次)

目次を見させていただきますと、「34の原則」が順番?に紹介されております。
この目次!なんかヘンだぞ!と思ったら。
ページ順ではなくて、五十音順の目次なんです。

しかも、目次に載っていない原則もあります。
例えば、下記の 「原則1 式の計算」
通常だと 「し行」で目次に載ってるはすですが、載っておりません。

原則1 ー 式の計算

原則1 ー 式の計算

本編のページで見てみますと、15ページで「原則1 式の計算」について触れており、
例題は29ページに掲載など、ページ順にも配置されていないんです。ランダムで記載されております。
特殊はページ構成となりますね。
他の例題も全く別のページです。

原則1 - 式の計算 (例題)

原則1 - 式の計算 (例題)

しかしながら、書籍の最後には原則一覧は表示されているので、こちらの方が見やすいかもしれません。
ただ、ページ構成はこちらもバラバラです。

原則一覧

原則一覧

渡辺次男先生曰く、重要度が低い原則は目次にもないとのことです。
もう一度目次に目を戻していただくと、()カッコで囲われているのがページ数なのですが、重要度が低い内容には
ページ数も書かれておりません。

目次 確率の「12.2 あるいは」はなどは、重要度が低いということです。
この辺も、重要度の参考にしていただければと思います。

次に、本文に目を向けますと

会話形式で解説が進むのに気づきましたでしょうか。
登場人物が
・あすなろ君
・トーベン先生 (少しトンマな数学先生)
・傍白氏 (少しイヤミ)

生徒と先生と横槍を入れる方みたいな関係です。
傍白の意味は各自調べてみた方が、力になると思いますので、ここでは記載いたしません。

例題のあとに、トーベン先生が解説からはじまり、あすなろ君が解答を考えるという流れです。
傍白氏の絶妙なダメ出しや横槍が、意外と参考になり解答への道筋にもつながります。
読んでいて飽きないのがいいですね。次の問題も気になって読んでしまいます。問題というより、会話が気になって読んでしまいます。

そして、例題とはあまり関係ないのですが、遊び心があちこちにあり、飽きないように工夫されております。

まず1点目
各ページに1つずつ初歩的なミスがわざとされています。その部分は太字で書かれているので、一目瞭然なのですが、
ミス部分の解答はありません。自分で考えるシステムです。

次の2点目
ページの各箇所に直接、間接、数学に関係のある図や言葉、写真などをいれてあります。
問題とは関係ないのですが、何度も見ていると「気づくこと」「空想できること」が色々とあると先生は記載しております。
計算がうまくなるよりも、そのような疑問から次々と出る能力の方が大切だと言われておりますので、
是非、先生の問いに挑戦してください。
下記に一例を上げさせていただきます。

挿絵 - 4コマ漫画

挿絵 - 4コマ漫画

頭のクイズ - どちらの周が大きいか

頭のクイズ - どちらの周が大きいか

記事 - 白バイ測定に誤り

記事 - 白バイ測定に誤り

色々と意味がありそうな、挿絵や記事ですが、何か感じるものはありましたでしょうか。
本編では、まだまだありますので、楽しみの一つでもあります。

 

今回も、本書を利用された熱心な方のコメントがありましたので、少し紹介させていただきます。

生徒・読者にスマートさの対極の泥臭さを求める方でしたが、結局、方法論としては令和の時代になってもなんら古びてなどいないと信じています。
むしろ令和の今だからこそ、なべつぐ先生が輝くように思います。

本書の特徴をまとめさせていただきますと

・数学の鉄則を34に絞って掲載。
・ページ構成をランダムにすることにより、意識向上に繋げている
・飽きない工夫により、数学の面白さを伝えている。

本書は数学が苦手な方から、得意な方までカバー出来るように、苦手な方は原則を理解すると面白いほど進歩すると、得意な方は問題の解法をクイズ性に楽しむ傾向があるため、原則通り解法を導きだしてほしいとされております。

今回は渡辺次男先生の『これでたりる数Ⅰ・ⅡB 受験数学34の原則』を紹介させていただきました。
紹介させて頂いたのはわずかな部分となりますため、他の原則にも先生のこだわりが掲載されておりますので、是非お手に取っていただきたい書籍です。

これからも当社で発掘できた選りすぐりの良著を紹介していきたいと思います。

次回更新もどうぞお楽しみに!

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