旺文社 基礎演習 現代国語問題集 新課程 1974-1975 関良一監修

いつもお越しくださっている皆様、いつもありがとうございます。
初めてお越しくださった皆様、はじめまして。
本日も、当社で発掘できた絶版参考書の中から選りすぐりの良著を紹介させていただたいと思います。
最後までどうぞおつきあいくださいませ。
本日、紹介いたしますのは・・・

「旺文社 基礎演習 現代国語問題集」専修大学教授 関 良一先生 監修 です。

-: 189ページ
出版社: 旺文社; 改訂新版 (1973/01)
ASIN: B000JBQBLW
発売日: 1973/01

監修を務められた関先生については引用ですが、紹介いたします。

関 良一(せき りょういち、1917年〈大正6年〉12月14日 – 1978年〈昭和53年〉3月10日)は、日本近代文学研究者。二松学舎大学、専修大学教授を勤めた。樋口一葉、島崎藤村などに関して実証的な研究を行い、二葉亭四迷『浮雲』の「四辺形説」は有名である。(ウィキペディアより引用)

四辺形説については、脱線してしまいますので別の機会に譲りますが、なにぶんにも44年前の情報なので略歴程度しかわからず、写真も入手できませんでした。という訳で、監修の紹介はここまでにさせていただいて、本著の紹介に入ります。


まずは、はしがきの画像から紹介いたします。

まず、この本の趣旨としては「(勉強は)どんなことをしたらいいかわからない」という声に応えるため、そこを解りやすく学べるように編集されています。

はしがきから感じるものは、必要以上に難しく考えたり、必要以上に簡単に思ったりすることは危険であり、文章の表現力と読解力を育てる勉強をすることが、問題を解く力となるとあります。

読解力を身につけるためには

記憶を必要とする学習(文学・語彙・文法・文学史などの知識をつける)と、思考力を高める学習(文章の主題・構成・文脈・指示語の指示内容・接続関係などをとらえる方法を会得する)とを繰り返す以外にない。

そして

表現力を身につけるためには

文章を書くのに欠くことのできない用字法・用語法・構文法に習熟しなくてはならない。

と、ありますが、

しかし、法則や約束を知識として理解するだけではなく、実際に書く練習を積まなければならない。

読解力と表現力は表裏一体の関係であり、両者が支え合いはじめて「ほんとうの学力」となる。と書かれています。

「ほんとうの学力」を身に付けるために考えられた構成になっているということですね。

そして、その学力に問題を解く「解法」が加わって完全となるということですので、以降本著の構成に具体的に切り込んでいきたいと思います。


先に触れた部分を身に付けるための構成がこの部分にまとめられています。

章ごとの重要事項を要約したBasic Pointsは、知識の整理と問題解法に効果的に使える。

Basic Pointsの画像で実際のページを紹介いたします。

どのような目的を持って、何を学び取って習得する必要があるのか?が明確に語られています。今では当たり前な構成に見えますが、このような初期に生み出された工夫が積み重なり「スタンダード」になったのですね。

 

学生に効果的な勉強をしてもらおう、最初に勉強する意図を説明し、何を学んで欲しいのか?を理解してもらおう。

そして、最初は基本的なことを学び、理解してもらった上で更に難しい内容へ段階的に挑戦してもらおうという工夫の誕生です。

以降のスタンダードとなる事柄の誕生の瞬間を目撃したような、歴史の証人なったような感慨に目にしたときは包まれました。

そして、段階的に高度な内容へ以降する2nd Stepの画像は…

基本的・標準的な問題を選び1st step(基本)、2nd step(応用)に分類配列したので無理なく学習ができる。

もう説明に関する部分が「わかっているもの」とされて省かれています。

これから難しいところへ行くと、構えさせない構成に感じました。

だとすれば、すごく使う立場に立ったいい進行だと思いました。

この参考書の絶版本を紹介していると常に感じる部分ですが、後のスタンダードとなる構成の創世記のものは古いのに「新しい」というか、本質の部分は変わらないのだと気付かせてくれます。

本質の部分は、学生さんのために書かれている。より解りやすく学べる。当たり前ですが、やはりそこが一歩抜きん出ているからこそ残っていけるものではないか?と感じます。

この本一冊だけで、そのトレンドが生まれたわけではないかと思いますが、トレンドの中でも更に新しい工夫が生まれ、流れの方向性が決まっていく。そして何よりもその生まれたものが浸透していくこと。ここが重要だと思います。

いかに優れたアイディアでも、理解されないのではいけません。一歩抜きん出たものより、半歩前にでているものの方が理解されやすい道理なのでしょう。

古本というのは、こういうことに気づくことができる楽しい仕事だとまた感じることができました。

また、良著を発掘し、紹介させていただきたいと思います。

次回更新もお楽しみに!

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